空間から時間への意味変化について

こんばんは夜ゼミ3年の方の齋藤です。今日は財布を家に忘れ王将から家に取りに戻り、あげく手袋をスーパーに落とし探し回りました。たぶん厄日だったんだと思います。あとこれだそうとしたらパソコンがバグりました。

本日紹介する論文は砂川有里子「空間から時間へのメタファー―日本語の動詞と名詞の文法化―」です。私の研究する「ところ」の外縁として空間から時間への意味変化したものについて触れていたので紹介します。

砂川は動詞や名詞といった自立語の空間概念を表す言葉が、付属語に変化していく様子について論述している。
まず文法化の特徴について砂川は

1. 意味変化とともにさまざまな形態的・統語的変化がおこる。
2. 意味変化はランダムなものでなく、認知的に動機づけられている。
3. 意味変化は具体的な意味から抽象的、一般的な意味にすすむ。
4. 変化は段階的・連続的なもので明確な線を引くことができない。

としている。(ここは文法化を簡潔にまとめてあり、素晴らしいとおもいます)
砂川は動詞、名詞を形で区分しました。

(1)格助詞+動詞テ形:にかけて、にしたがって、をつうじて、など
(2)動詞連用形:おり、きり
(3)動詞連用形+格助詞:おりから、おりに
(4)名詞単独:あと、かたわら、すえ、など
(5)名詞+格助詞:うちに、そばから、ところに、など
(6)名詞+指定辞ダ:一方だ、ところだ

ここで空間をあらわす名詞や動詞が変化していくなかで名詞らしさや動詞らしさが希薄化し脱名詞化、脱動詞化が見られる。そして次のような性質が見られます。

1. 動詞は述語に名詞は主語、目的語にたたなくなる。

(7)本日をもちまして、当劇場は閉館します。
*当劇場の閉館は本日をもちます。
(8)長時間の協議のすえ、やっと結論がでました。
*長時間の協議のすえを待つ。

2. 動詞はガ格補語などが取れなくなり、ニ格やヲ格補語に限られる。

(9)母が針に糸を通した。
(10)5日間を通しての会議でさまざまな意見が交換された。

3. テンス・アスペクト・ボイスなどの文法カテゴリーがなくなる。

(11)その国は一年を通して暖かい。
その国は一年を通じて暖かい。

また時間概念を空間の意味から動詞を分類すると次のように、

(12)随伴…にしたがって、にともなって、につれて、をもって
(13)接触…おりから、おりに、きり、にあたって
(14)設置…において、にかけて
(15)存在…にあって、にさきだって、にひかえて、にめんして
(16)移動…にいたって、にいたっては、にいたっても、にわたって、をつうじて、をとおして

また名詞では

(17)場所一般:ところ、ところだ、ところで、ところに、など
(18)相対的位置関係:まえに、をまえに、あと、かたわら、など
(19)空間の形状:あいだ、あいだに、うちに、すえに、など
(20)その他:いっぽうだ、いっぽうで、とともに

であるとした。ここで動詞の場合動きや変化に関わる意味や変化の過程意味が関係し時間関係に影響があるとした。また名詞の場合も位置関係や空間の影響が時間関係に転写されるとした。
この論文は空間から時間への意味変化が概観でき役立ちました。

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