応答詞「そうです」使用の自然性は?

試験もようやく残りひとつとなり春休みが近づいていることに嬉しさを感じつつ、就職活動に力を入れていかないといけないなと思っているだけの昼ゼミ3年大内です。今回、私が要約する論文は以下のものです。

岡本真一郎・多門靖容(2002)「「そうです」型応答詞の使用の規定因」

『愛知学院大学人間文化研究所紀要』 17号, pp.379-392, 2002-09-20

この論文では、過去の知見に筆者らによる見解も加え「そうです」型の応答が自然なのはどのような場合であるかを整理し、その要因を推測している。過去の知見として大島(1991)は「そうです」による応答が可能な場合として、先行する質問の形式に次のものを挙げている。

① ノダ文:ノデスカ
② 名詞述語(名詞+判断詞)
③ 「―ダ」形式の文:「AノハBデスカ」
(1)「太郎がラブレターを送ったのは花子にですか?」
  「そうです」

上記の場合に「そうです」応答が可能になるのは「『提示された表現』の妥当性を問う質問文(表現提示形式)である。」からと推測している。
しかし、この大島の議論だけではなぜ表現提示形式なら「そうです」が適切になるのかが明らかではない。ほかにも「そうです」の使用の可否を左右する条件はある。また、「そうです」の類似表現である「そう」「そう思います」などの使い分けや確認文や主張文などの使用も視野に入れなければ」ならないのである。

この論文では筆者らが調査もしており
①述語部の品詞による「そう(です)」の自然さ
②ノダ文応答と非ノダ文応答の比較
③応答「そうです」「そう思います」「そうみたいです」「そのようです」の比較
④質問と確認の比較
と過去の知見を通して、質問提示に対する「そう」応答の使用には原則があるのではないかと述べている。以下が過去の知見と調査に基づき見出した原則である。

(a)形態的な当てはまりが良いこと
 質問提示に対する「そう」応答は、提示の一部を繰り返す応答の代用となっている。そこで「そうです」は「疑問の焦点」に対応することになる。この場合の形態的な当てはまりの良さが「そうです」の自然さの重要な規定因のひとつになる。他にも時制が完了より非完了のほうが、ノダ文より非ノダ文のほうがそれぞれ「そうです」応答が自然になる。

(2)「山田さんは来たんですか」
  「ええ、そうです」

(b)提示者が判断を示すこと
 「そうです」は、提示者が判断を示したことを応答者が肯定する場合に用いられる。そうでない場合は不自然になる。特に、依頼や意向、許可の打診への「そうです」応答は不自然さが目立つ。このような場合、提示者は相手の意向について判断しているのではないからである。

(3)「手伝ってくれますか」
  「??そうです」

(c)提示者の判断がカテゴリー的であること
質問提示者の判断が、述語部分(質問の焦点)がいくつかのカテゴリーのうちひとつに一致するという判断である場合に「そうです」応答が自然になる。

(4)「そこまでどうやって行きましたか。歩きましたか」
  「そうです」

(d)提示者の応答者への情報の依存性
質問提示から確認提示、さらには主張提示へと移行するにつれて、「そう」応答に対する制約は弱まっていく。しかし、確認提示に対する「そうです」は全く問題がなく自然というわけではない(5)。また、主張提示のほうが質問提示よりも「そう」応答が多くみられる(6)。

(5)「花子は出かけ{ましたね/たでしょう?}」
  「?そうです」

(6)「女房には、ゆうべ、散々謝りました」
  「そうですか」

まとめ.
質問文に対する「そう」応答「そうです」は
Ⅰ.質問の焦点を含んだ繰り返し応答が「―です」に一致するという形態的対応がある
Ⅱ.質問提示に判断が提示されること、そしてその判断がカテゴリー的であること
の要因が満たされる程度によって規定される。また、応答に「そうですね」「そうですか」を加えた場合、
Ⅲ.提示が質問から確認、主張へと真偽に関して応答者の情報に依存する度合いが少なくなるほど提示述語の品詞の制約条件が弱められていく。

考察.
・質問文でも文章の流れが自然かそうでないかを決める要因が複数見受けられた。
・言われてみれば不自然な文章の使用を避けているので、提示者の判断による使い分けが無意識のうちに行われているのではないかと思った。
・形態的なあてはまりが良いことというのは、つまりしっくりくるかどうかということを述べているのであってわざわざ調査をしてわっかたことなのだろうかと疑問を抱いた。あくまで調査、今までの見解から述べるべきであると考える。

最後に.
今回は前期のグループワークで調べた「そうですか」「そうですね」で触れた「そう」を使った応答について紹介した。「そうです」を使用する規定因が数多くあることがわかり、応答詞をより理解できたと思う。