曖昧表現「まあ」について

こんにちは。冬休み気分の抜けないまま春休みを迎えようとしています。昼ゼミ2年吉田です。
さて、今回は曖昧表現のひとつと考える「まあ」について以下の論文を要約しました。

冨樫純一(2002)『談話標識「まあ」について』(筑波日本語研究 (7), 15-31)

この論文では、「まあ」の用法を観察し、その機能を話し手の心内の情報処理の観点から記述していく。

1.先行研究
 「まあ」を扱った論考としては、川上(1993,1994)などがある。川上は実例による分析から「まあ」を、発話冒頭に現れる場合と発話中の文頭・文中に現れる場合とに分け、前者を「応答型用法」、後者を「展開型用法」と位置付けている。そして、「まあ」の基本機能を、「いろいろ問題はあるにしても、ここではひとまず大まかにひきくくって述べる」としている。聞き手に配慮してスムーズな談話展開を促すものであり、自分の発話内容を発展させる用法をもつとしている。

2.「まあ」の持つ機能

(1) 1980円に消費税だから、まあ、2100円くらいかな。
(2)??1980円に消費税だから、まあ、2079円だな。

(3)まあ、やってみたら?

「1980円+消費税」の計算が曖昧な場合(1)は「まあ」が現れることができるが、正確な計算結果が出ている場合(2)は現れることができない。何らかの処理(考え)の結果、正確な情報が出力されたという状況においては「まあ」は現れることはできない。また、これは数値の計算に限ったものではない。(3)の「まあ」は「やってみたらいい」という計算結果に至る道筋が話し手の中で明確になっていないという曖昧性を示している。これらから導出できるのは、「まあ」の機能は「ある前提から結果へと至る計算処理過程が曖昧であることを示す」というものである。あるいは計算に至る際の前提そのものが明確ではないことを示す。
しかし必ずしも「まあ」の後に現れる情報が曖昧性を帯びているとは限らない。

(4)A 仕事手伝ってくれる?
   B まあ、いいよ。
(5)……で、最終的にはこうなるわけです。まあ、これが結論ですね。
(6)(Bは太郎のことをよくは知らない場合)
   A 太郎って何してるの?
   B まあ、元気でやってるよ。

これら三つの「まあ」発話はいずれも自然である。そしてさらに、これらの発話には、(4)では「しぶしぶ応じる」態度、(5)では「これが結論であるとは明確には断言できない」という態度、(6)では「よく知らないけど、たぶん元気なのだろう」というはっきりとしない予測、といったニュアンスが含まれている。このように「まあ」は単純に、後に語る内容をぼかす機能ももっている。

3.まとめ・考察
 「まあ」が本質的にもつ「曖昧性」はそのまま、「曖昧な物言い」につながり、そこから「はっきりと表現しない=やわらかな物言い」と派生していくものと冨樫は考える。
 今まで調べてきたほかの曖昧表現との関連を考え、実例を挙げて今後より深く考察していきたい。

参考文献:川上恭子(1993,1994)『談話における「まあ」の用法と機能(1),(2)』(『園田国文』14,15)