会話文における「まあ」について

こんにちは夜ゼミ3年の須藤です。提出遅れて申し訳ありません。春休みで完全に浮かれています。今回は次の論文を要約しました。

川上恭子(1993)「談話における「まあ」の用法と機能(一):応用型用法の分類」
園田国文 14, pp69-78

川上は「まあ」の用法を、発話の冒頭に位置する「応答型用法」と、発話中の文頭または文中に位置する「展開型用法」の二つに分類しており、相手の発話内容に対する受け取り方を表示しつつ、自分の発話内容を展開させていく用法を応答型用法としていて、先行文が判定質問文、説明要求質問文、依頼文・勧誘文、平叙文・詠嘆文の四つの場合についての「まあ」の用法をまとめている。

(1)判定要求質問文に対する応答
質問の中には応答者が答えたくない場合や事情が複雑あるいは曖昧で答えにくい場合があり、このような場合に「まあ」を用いて大まかに答えられる。

(2)説明要求質問文に対する応答
この場合も、基本的には(1)同様に答えにくい質問に対して「まあ」が用いられるのだが、(1)は肯定または否定の応答が求められる質問文で、(2)は具体的な説明や理由を答える質問文である。例えば「応答回避」の場合では次のようになる。
(a) A「恋人はいるんですか。」
  B「まあ、いいじゃないですか。」
 (b) A「どんなところがお好きなんですか。」
  B「まあ、いいじゃないですか。」
「まあ」を用いることで返答を曖昧にすることができる。

(3)要請・勧誘文に対する応答
要請・勧誘に対する応答に「まあ」を用いると、「いろいろな事情があってすぐには受け入れられないが、とりあえず」という気もちが表れ、結果的に消極的な承諾となる。

(4)平叙文・詠嘆文に対する応答
ここでの「まあ」は応答というような受動的なものではなく、積極的に自分の発話を展開していくための前置き表現であり、相手の発話に対して何らかのコメントを加える形で談話を展開していく用法である。
 (c) A「女房に逃げられたんですよ。」
   B「まあ、人生いろいろありますよねえ。」

以上をまとめると、「まあ」の基本的な意味は「慨言」で、「いろいろな問題はあるにせよ、ひとまずここでは大まかにまとめて述べようとする」姿勢や態度のことである。この基本的意味が使われ方によって「どちらかと言えば」「とりあえず」「だいたいのところ」などといったさまざまな対象的意味を実現しているのであり、先行発話を受けつつ、次への展開をスムーズに誘導するという調節機能を果たしているのである。

私の研究内容はブログで用いられる「まあ」についてなのですが、今回の論文では会話内での「まあ」を要約したことで、また別の観点での「まあ」の用法を認識できたので、今後は「まあ」がブログで用いられる場合、つまり会話の対象がいない場合との比較に繋げていきたい。

それでは3年生の皆さん就活頑張ってください。