「あーね」考

こんにちは!夜ゼミ2年の山本です。緊急事態宣言ということもあり、せっかくの夏休みなのにどこにも出かけられていません😢そのおかげと言ってはなんですが、課題が少しずつ進んでいます(多分)。大学生らしく旅行とか行って遊びたかったですが、、、!さて、気を取り直して…今回は以下の論文についてのレポートです。

二階堂整(2015)「あーね考」

『山口国文』第38巻、pp.108-101

この論文は、福岡県の方言である「あーね」が若者言葉として使用されるようになった要因について考察している。

 まず、「あーね」が実際に福岡の方言として使用されているのかを明らかにするため、高橋顕志氏が2000年と2004年の二回に行った、全国の大学生を対象とした方言アンケートを提示している。この調査によると、2000年では福岡県(一部、佐賀県も含む)でしか使われていなかった「あーね」が、2004年の調査では福岡県を中心として、筑後地方から佐賀・熊本県への拡大や、福岡市から北九州市への広がりが見受けられた。また、筆者が新幹線開通に合わせ2010年に実施した、福岡・熊本・鹿児島3県の方言調査では、表2、3のような結果になっている。

この調査結果から、高校生と活躍層(4、50代と一部60代)には大きな使用率の差があり、「あーね」が若者を中心として使用されていることが分かる。また、3県の高校生の比較から、「あーね」の使用率が福岡、熊本、鹿児島の順に並んでいることが分かる(表2)。このことから、筆者は鉄道沿いに「あーね」が伝わったと考察し、この主張を補填するため、さらに2014年3月にNHKで放映された「方言バラエティ あーね」という番組での高校生が対象のアンケートも引用している。この調査によると、「あーね」の使用率のトップは福岡(96%)であり、次いで福岡から長崎本線沿いに佐賀・長崎と並び、鹿児島本線沿いに熊本・鹿児島、日豊本線沿いに大分、宮崎と並んでいることが分かった(表3)。これを踏まえ、筆者は「あーね」の使用状況が、鉄道に加え、高速道路なども含めた人流の活発化が反映していると考察している。更に、福岡市に大きな商業施設(イムズ・ソラリア、キャナルシティなど)が開業したことから、福岡への若者の人流が増えたことも関係していると述べている。(『若者の消費行動』(1996)より)

次に筆者は、「あーね」が若者の間で広く使用されるようになったきっかけとして、現代の若者の気質と関連付けて考察している。と言うのは、相手に対し必要以上に気を遣った表現や、曖昧でぼかした表現を好んで使う若者の気質が少なからず影響していると推測している。同じ頃の相槌には「うそ」や「まじ(で)」などもあるが、「あーね」と比べると強めの印象がある。

 以上のことから、筆者は福岡県の方言「あーね」が若者言葉として使用の拡大が起きた要因としては、

この言葉の語感などが現代の若者の気質に合っていたこと

福岡県の発展に伴い九州内の移動が頻繁に行われるようになったこと

と相まって「あーね」が福岡から九州各県へ鉄道沿線に沿って広がっていき、若者言葉として普及したと考察している。

 この論文を読んで、同じ頃の相槌として「うそ」や「まじ(で)」などがあり、「あーね」と比較すると強めの印象になってしまうと論述しているが、それだけだと筆者の予想で止まってしまっているように感じたので、それらの相槌が「あーね」と比べてどのようなイメージがあるのかもアンケート調査などで示したらより①の説得力が増すと思った。

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