日英語における愛称語形成について

こんにちは! 夜ゼミ2年の鈴木です!

 先日成人式の前撮りをしたのですが、着付けや撮影を長時間したことに加え、1日中ずっと事務的な誉め言葉を浴び、とても疲れました(笑) 成人式が行われる頃は今よりもコロナが収まっていることを願っています。

 さて、今回は以下の論文を要約しました。

太田 正之(2008)「日英語における愛称語形成について」『県立新潟女子短期大学研究紀要』 第45巻, pp.167-173, 県立新潟女子短期大学

この論文では日英語における愛称語形成について考察しているが、今回は日本語の愛称語形成についてのみ取り上げ、要約しました。

愛称語には様々な種類が存在するが、今回は人の名前の一部を取り出して形成されるものの中から、「ちゃん」を付加する愛称語について取り上げる。

まず愛称語「ちゃん」の形成パターンは以下の通りである。

  1. 名前の最初の2文字を取り出して「ちゃん」を付加する。

また音節の母音部分を伸ばしたり、「っ」という促音に変えたりもする。

(例)

a.はるちゃん…はるか   b.なっちゃん…なつみ  c.まーちゃん…まさお 

d.えっちゃん…えつこ

2.漢字の一部や連想される漢字の読みに接辞を付加するもの。

(例)

e.めぐちゃん…けいこ(恵)  f.がんちゃん…いわお(岩)   g.ぶーちゃん…たけし(武)

上記から「ちゃん」という接辞を付与してつくる愛称語は、最低でも4モーラ分の長さが必要であるため、名前から取り出す部分が1文字であっても、促音や撥音を加えたり(b)、切り出した音節の母音部分を伸ばしたりすること(c、f)で調整を行っている。

dの愛称については、2つの分析ができる。

①最初の2モーラ(etu)に接辞が付加されたのちに、母音脱落や子音同化等が起こった結果、促音化した。

… etuko → et(etu)-tyan

②cのように語頭の1モーラが取り出されたのちに「っちゃん」が付与された。

  … etuko → e-ttyan

②の場合、他の愛称語に付加された「ちゃん」と「っちゃん」は別の形となり、共通性がみられない。また親しい間柄では、愛称語の接辞が省略された状態(a.はるちゃん→はる)で呼ばれることがあるが、②の分析では不可能である。… ①etu、②e

したがってdの愛称語については①の分析が正しいと言える。

 以上のことから、「~ちゃん」という日本語の代表的な愛称語パターンは、2モーラ以上の長さをもつ要素にのみ接辞が付加され、接辞を省略する場合でも2モーラという長さの制限が働いている。

 自分の意見として、aの「はるか」という名前であったら「はるちゃん」、「はーちゃん」、「はっちゃん」のどれでも許容されると感じるが、eの「けいこ」は「けい(めぐ)ちゃん」は良いが、「けっちゃん」はあまり聞かないように思ったため、なぜそのように感じるのか調べたいと思った。