会話文における「ちょっと」の配慮表現について

 こんばんは、提出が非常に遅くなってしまいました。夜ゼミ2年の五島です。春休みに突入して一週間以上経ちますが、いやあ、休みとはいいものですね。やりたいことが上手くできているような・・・気がします。その割にはこの課題の提出がギリギリでしたね。すみませんでした。

 今回私は、『会話文における「ちょっと」の配慮表現について』鄭栄愛(2012)を取り上げました。タイトルからも分かるように、この論文は私たちが普段何気なく使っている「ちょっと」について焦点をあてたものです。本来「ちょっと」は程度副詞であるはずですが、その枠組みを超えて今や多様な使われ方をしています。その一つに配慮表現があり、日常会話において人とのコミュニケーションを円滑にするために用いられます。鄭はその配慮表現の立場から、文学作品を参考に「ちょっと」の用法について詳しく分析していました。
 まず、大きく6つにその用法は分けられ、①要求②願望③咎め④質問⑤呼びかけ⑥告知とのようになります。ここからさらに詳しく分析しているので、一つずつ紹介したいと思います。

①要求
相手に要求を表す時は、依頼文・勧誘文・命令文の3つに分類できます。長くなってしまうのでそれぞれ例文は挙げませんが、依頼文・勧誘文に使われる「ちょっと」には軽いニュアンスが含められていると考えられます。本来の程度副詞である「少し」の意味がわずかに残っていると考えられ、聞き手への配慮としてそれが使われます。一方命令文で使われる「ちょっと」には、発話意図を強く感じさせるものがあります(例「ちょっと待てよ」等)。そこには聞き手への配慮はなく、自分の意志を通したい気持ちが強く表れるものとなって表現されます。
②願望
 願望を表す文には「ちょっと…したい…」という形で、直接相手に願望を働きかける場合と相手の協力を求める願望意志の二つに分けられます。この時、「ちょっと」にはまだ程度副詞の意味が残っていると考えられ、軽い感じで持ちかけることで相手への負担を軽減しようとする聞き手への配慮が見受けられます。
③咎め
 話し手が聞き手に対して不満や非難などの感情を表している時、これに分類されます。鄭は、中断をする時・提案をする時・間接的な非難・直接的な非難、と咎めについてさらに4つに分けました。それぞれをみていくと中断をする時(例「ちょっと、その辺で止めなさい」等)は中断させる気持ちを強く伝えているため、相手への咎めの感情が強く感じられます。そこに聞き手への配慮はありません。提案をする時は、聞き手への配慮が見られます。この時の“提案”は相手に対して否定的なものであり、それを直接表現するのを避けるため使われます。間接的な非難というのは、疑問文で表されます(例「ちょっと大人気なかったのではないですか?」等)。疑問の形になることで非難が間接的になりますが、「ちょっと」を付加することで相手への非難・不満の気持ちが強く表されます。もちろん聞き手への配慮はありません。直接的な非難というのは、疑問の形で言っていない場合のことです(例「ちょっと大人気ないですよ」等)。この時の「ちょっと」は、直接的な非難を和らげる場合とさらに強める場合とのように、2通りに解釈することができます。よって聞き手への配慮があるかどうかは判断しがたいです。
④質問
 質問をする時、相手に対してその質問が唐突にならないよう軽い感じで持ちかけるために使われます。相手への心的負担を軽減するために用いられるので、聞き手への配慮があります。
⑤呼びかけ
 呼びかけの形として、「ちょっと、(人名)」が多くみられます。これに当てはまるのが、注意喚起を強める場合と直接な面を回避する場合の2つです。呼びかけの場合は、後ろに用いられる内容が話し手の発話意図です。そしてその前に呼ばれる人名が、元々注意喚起の役割を担っています。そのため注意喚起を強める、つまり相手の動作を止めるか相手に何かを強く求める時、「ちょっと」は自分への配慮として使われます。直接な面を回避する場合というのは相手に何かを告知・依頼する時であり、その呼びかけの相手への配慮として使われます。
⑥告知
 話し手が自分の行動を相手に知らせる場合のことをいいます。この時「ちょっと」は動詞の直前で使われます(例「ちょっと出かけます」等)。これは今からする自分の行動が大袈裟なものとならないようにと、その行動自体を和らげるために用いられるので、聞き手への配慮があると思います。

 長くなってしまいましたが、これが「ちょっと」の用法分類です。普段無意識に使っている「ちょっと」が、上記のように細かく分類することができるのに面白みを感じました。本来は程度副詞であったはずが、いつからこのように用法を広げていったかについても興味を持ちました。
 わかりやすい内容の論文でしたが、まだ「ちょっと」の用法を説明するには十分とは言えない点がいくつかあるので、今後の研究の題材にしようかなと考えています。皆さんも機会がありましたら、是非目を通してみてください。

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