会話における「なんか」の機能に関する一考察

こんばんは。夜ゼミ2年の鈴木です。

 夏休みはあまり外出が出来ず、家で韓国ドラマやK-POPを見て過ごしていたおかげで、ハングルや韓国語が少し分かるようになってきました。第二外国語が中国語なので、華流ドラマにハマれば中国語も楽しく覚えられるかな、、、なんて思っています。

さて今回は以下の論文を要約しました。

鈴木佳奈(2000)「会話における「なんか」の機能に関する一考察」『大阪大学言語文化学』,第9巻,pp.63-78, 大阪大学言語文化学会

 この論文は「なんか」の実際の言語的機能について分析、考察している。また、ここでは初対面の大学生同士(同性)1の15分間の会話18組を使用した。

1.「なんか」の意味論的機能

a. うちの学部の人の、高校の同級生かなんかで、

b. 私なんかまだ卒論のテーマも決まってないんですけど

疑問詞、代名詞として使用される「なんか」は、不確実性、不特定性の標識としての働きをもち、これが「なんか」の最も本質的な機能であると思われる。次に助詞については例示や対比、強調など、先行する名詞句に意味が添加される。このように意味論的機能としての「なんか」は発話の命題内容を構成する要素のひとつとなっている。

2.「なんか」の語用論的機能

c. ①多分、なんかそういう保険がみたいななんか、あったみたいで、

②うんうん

①結構なんか、月に数万入ってきて、

①治療費よりも、多かったから、結構得しちゃった。

語用論的機能は、 productionformatの変化を予告・強調したり、あるいは話し手と聞き手両者に共有されている否定的な意見を暗示したりして、発話内容や発話者の発話に対する態度をあいまいにするというメタメッセージを間き手に伝達する。これは伝達表現が発話の終盤に出現することの多い日本語の特徴において、「なんか」を挿入することにより、話し手の態度を聞き手に予測させているのだといえる。

3.「なんか」の談話調整機能

d. なんか、う一ん、ジャズの、そ、何やろな、日本の、ジャズ?

談話調整機能は、言いたいことがある時にうまく適切な言葉が出てこないような時に、時間的余裕を作り出したり、新しい話題の禅入を示したりすることで、円滑なコミュニケーションを促進する、「つなぎ言葉」の役割である。語用論的機能と談話調整機能は、不確実性・不特定性の標識という「なんか」の本質的機能から派生したものではないかと思われる。

また「なんか」は二つ以上の機能を同時に担うことが可能であり、それぞれの機能は互いに密接に結びついて複雑に働いている。

 この論文を読み、私自身「なんか」という語を口癖のように発していたことに気が付いた。「なんか」という語はその機能によってそれぞれ異なる語に置き換えられると思うが、これほどまでに多機能な語は他にないのではないかと思った。