関西若年層の「クナイ」

こんにちは。夜ゼミ2年の広瀬です。深夜に友人へLINEの返信をしたら、「なんで起きてんの?」とすぐに返信が来ました。私も友人に全く同じことを思いました。

今回要約する論文はこちらです。

高木千恵(2009)「関西若年層の用いる同意要求の文末形式クナイについて」『日本語の研究』第5巻4号 pp.1-15(武蔵野書院)

〇要旨

 関西若年層が使用する文末形式クナイについて、韻律的・形態的・構文的特徴および文法的意味を中心に考察する。

〇若年層の「クナイ」

 近年、関西方言を話す若年層のあいだで、「動詞基本形+クナイ」という形式が使用されている。以下は例である。

(1)色画用紙とかも、ヒャッキン行けばあるクナイ?

 聞き手への問いかけのかたちを取りながら自分の考えを主張している点に特徴がある。元々クナイはイ形容詞否定疑問文形式の一部分であるが、ここでのクナイは、ひとまとまりの文末形式として使用されていることを示すものである。

〇資料について

 関西の複数の大学でアンケートを行う。調査の目的は以下の二点である。

(A)新形式クナイが関西方言話者にどの程度浸透しているのか

(B)クナイがどのような用法を担う形式として使用されているのか

〇韻律的特徴

 基本的に述語の語アクセントは保たれたままで、文末に疑問上昇調のイントネーションがかぶさっている。

〇形態的特徴

 基本形・タ形・丁寧形の三つの形態を持っているが、タ形および丁寧形についての使用は不安定である。

  (2)今日ミーティングあるクナイ?(基本形)

  (3)??昨日ミーティングあるクナカッタ?(タ形)

  (4)今日ミーティングあるクナイデスカ?(丁寧形)

<基本形>

通常疑問を表す文末詞カを付加することはなく、イントネーションによって問いかけであることが示される。

<タ形>

 過去のことがらについて述べる場合には、前接する語のタ形にクナイを後接させる方が自然なようであり、クナカッタを使用すると回答したのは一名だけであった。

〇用法

 文末形式のクナイは、事態成立の見込みがあるという話し手の判断を表す。使用されるのは以下の条件をともに満たす場合である。

(a)判断の妥当性が追認できるような眼前の事象、一般的知識、経験的に共有されている知識、普遍的真理などを問題にしている。

(b)情報量の点で話し手と聞き手とが対等の立場にあると話し手が考えている

〇私見

 文末形式のクナイは、関西に限らず関東の若年層もよく使っているのではないかと思う。実際にSNSで検索してみても、同時期に既に使用している若者は多くみられた。論文中に「文末形式のクナイは実際には東京でほとんど使用されてないという」と記載があったが、当時のSNS等を見る限りではそうとも言い切れないのではないだろうか。

 また、アクセントやイントネーションについての視点から考えているのは非常に興味深いと感じた。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です