個人名の型と機能

 こんばんは、夜ゼミ2年の鈴木です!

 やっと最後の論文レビューです!もちろん論文を読んで要約することも難しかったのですが、家とバイトの往復ばかりで代わり映えのない日常を送っているため、近況報告の内容を考えることもなかなか難しかったです(笑)後期は課題を計画的に進めることと、時間を有意義に使えるようになりたいです。

 さて、今回は以下の論文を要約しました。

清海節子(2005)「個人名の型と機能」『駿河台大学論叢』第30号,pp.95-120

 この論文では、日本語における名づけの型と個人名の持つ機能について他国の文化と比較したうえで論じている。ここでは主に日本語の個人名について取り上げ、要約する。

1.命名の動機と意図

 日本における命名法の動機と意図は次の5つの型に当てはまる。

1)誕生記念 2)音声・文字 3)意味 4)他の人名 5)兄弟の順序

 上記の動機は、日本に限らずほとんどが他国でも当てはまる。一般的に、不吉な印象を与える名前はつけられず、あえて縁起の悪い名前を付ける文化であっても、不幸から身を守るという目的がある。また、4)の他の人名から受け継ぐ場合は、祖父母から取られる傾向があるというのも共通の傾向であった。

 しかし日本の場合、名前の音よりも文字に重きを置いているといえる。日本語の音韻構造や音節構造は世界の中でも単純な方であるが、表記の種類は漢字や平仮名、片仮名、ローマ字のように、非常に多い。日本人は同音の名前であっても感じが異なると全くの同じ名であるとは認識しない。よって文字による差別化が行われるのは、日本語における名づけの大きな特徴であるといえる。

2.男女差

 名づけは性別によって名の型に差をつける傾向がみられた。『名前ベスト100』(2004)に掲載されている名前のうち、「太」や「大」、「斗」などは男の子の名前だけにみられ、「美」や「愛」、「菜」などは女の子の名前にのみにみられた。

 音韻面については男女ともに3モーラの名前が1番多かったが、男の子の場合は2モーラから5モーラまで存在していたのに対し、女の子は2モーラと3モーラのみであった。しかし文字数においては、漢字1文字の名前の割合は男の子が女の子の2倍であったため、女の子の方が文字数の多い傾向にあることが判明した。

3.個人名の機能について

  日本は公の場において個人名よりも苗字を使用することが多く、個人名は身内など親しい間柄の人にだけ使用される傾向があるため、個人名が多く使用されるアメリカと比べると使用の制限度が高いといえる。

 この論文を読んで、あだ名においても2モーラ以上が必要であったため、この長さは日本人の名前において不可欠な要素であることが分かった。また論文内では男のみ、女のみとされていた漢字も現在は男女どちらの名前にも使用されているように感じたため、名づけにおいてもジェンダーによる区別が無くなってきているという傾向を感じた。