こんばんは。昼ゼミの下田です。明日から2月です。今週は冷えるみたいですね。試験も終わり、ゼミの課題も終わりホッとしている人も多いと思いますが、体調管理をしっかりして風邪をひかないように気をつけて下さい。
この論文では、前節にいろいろなジャンルから資料を収集し、接続詞「だから」の談話展開機能を5分類し、その機能と役割について論じている。また、後節では「だから」が談話の結束性・整合性に対する作用について考察している。
1.「だから」の談話展開機能
①「話を始める機能」(新しい話を始める)
②「話を重ねる機能」(前の話を繰り返し、同じ話を重ねる)
(1) 聞き手が先行する発話を聞き取れなかったと判断する場合
(2) 聞き手が理解できなかったと判断する場合
③「話を進める機能」(前の話の結果や進行を述べる)
(1) 因果関係が強い
a 結果の導入
b 結果への納得
(2) 因果関係が弱い
a 情報の追加
b 現場情報の確認
c 場つなぎのマーク
④「話をうながす機能」(話が先へ進むように相手をうながす)
⑤「話を終える機能」(話の締めくくり、終了する)
接続詞「だから」は一般的には結果を導く因果関係を表す文法的意味として、広く知られているが、①〜⑤のように実際のコミュニケーションの場合を考えてみると、因果関係を表さない用法もあると論じられている。
談話においては、「だから」を使って因果関係で話を進めるだけでなく、時々話題を変えたり、話を終えたり、また、同じ話を何回も繰り返したりすることがよく見られる。
2.「だから」が談話の結束性と整合性に対する作用
後節では「だから」が談話の結束性・整合性に対する作用について考察している。結束性とは、では「様々な言語手段を使っての談話の言語的つながりをさす(Halliday & Hasan 1976)」と定義され、また橋内(1999)では、「語と語、句と句、文と文が互いに合ってまとまりのあるテクストを作り出すということをいう」と定義されている。
一方、整合性とは亀山(1999)が「談話全体の『自然さ』あるいは『すわりのよさ』というような広い意味で使われる。整合性を決めるのは言語的要素に限らない。常識、推論、連想など、非言語的要素も含めて、整合性は談話の意味的つながりの善し悪しをさす。」と指摘している。
以上のように結束性と整合性は密接な関係があることがわかる。接続詞「だから」は前節の分類のように文法上や論理上の意味とは関係なく使用されている場面があり、そのような場合の「だから」は文と文をつなぎ、一つの言語として談話の結束性に作用している。言語上のつながりは談話全体の意味的つながりに通じるので、結束性は談話の整合性にも影響を与えると述べている。
僕は接続詞として使用されている「なので」について研究している。「だから」と「なので」は共通する部分が多いと思うので、この論文の「だから」と自分の研究している「なので」とを比較し、より深く考察する必要があると感じた。
引用文献
任麗(2010)「談話における「だから」の機能」『国際日本学論叢』 pp47-85