こんにちは、夜ゼミ二年の山田康太です。クリスマス、年越しともにバイト先の某Kというファストフードでチキンを揚げたり、急な気候の変動で十年ぶりくらいに喘息の発作が起きたり、昨年度、残念ながら再履になってしまった第二外国語の勉強に追われたり、と地獄のような毎日です。今日は以下の論文を要約しましたので報告したいと思います。
佐伯 香奈(2010日本語教育におけるカタカナ語の現状と課題 : 日本語学習者のためのカタカナ語の選定を中心に 恵泉アカデミア 15, 128-153, 2010-12
私は、ゼミ選抜時の文章に若者言葉について研究したいということを書いて、なんとか尾谷先生に拾っていただきました。カタカナ語は若者言葉のような側面も多分にあると思います。これがこのテーマのした理由の一つです。もう一つは外来語との違いを友人に尋ねられ、概ね同じという解答しかできなかったのでこのテーマにしました。
この論文で筆者は、日本語母者が使う日本語テキストと日本語母者でないものの日本語テキストを比較し、後者のテキストにおけるカタカナ語リストが妥当なものかどうかについて考察している。更に、カタカナ語と外来語の定義の違いについても述べている。
(1) カタカナ語と外来語の違い
カタカナ語と外来語の違いというのは諸説あるのですが、大きく分けると
① 由来した地域により分けるもの
② その単語の発生した時期により分けるもの
③ 概ね同じものであるという解釈
がある。①は、地域差なのですが一般的には、「中国から来たものは、漢字で表記できるから外来語であり、欧米から来たものはカタカナで表記されるからカタカナ語」というものである。②は、明治期に入ってきたものはカタカナ表記が多いのでカタカナ語という分け方なのであるが、これに関してはかなり説明不足であり、読んでいてもやや理解に困るものであった。③は文の通りであるが、「カネ」や「コメ」と言った日本語をカタカナ表記したものは外来している言葉ではないので概ね同じというのは無理な解釈である。
この論文では、①の定義に基づいている。また、和語+外来語(生クリームなど)や漢語+外来語(温水プール)のようなものも片方が外来語であれば外来語としている。
(2) 日本語母者ではないもののテキストにおけるカタカナ語
この論文では、初級、中級、上級の三冊のテキストを使用している。この日本語母者ではないもののテキストのカタカナ語における問題点を筆者は
① 国語辞典に表記のないものは使用されていない
② テキストの内容に則した語のみが多用されているため重要ではない語も多い
を挙げている。日常使用するカタカナ語のほとんどがテキストではカバーできていない状態になっている。
(3) 国語辞典内のカタカナ語
この論文では国語辞典内におけるカタカナ語についても言及している。国語辞典内のカタカナ語約五千個を①名詞、②形容詞、動詞など③その他に分けた。そのときの傾向として
① 95%以上が名詞
② 動詞で選ばれているものは日本語にはないニュアンスもしくは日本語では同一化するもの(好き→like love)
としている。
以上のようにカタカナ語には外来語との線引きが曖昧であるという点や動詞における選定条件のようなものが見られた。また、日本語の独自解釈している語もある中でそれを日本語学習者に伝えられていないのではないかという点が浮き彫りになっている。今回の論文は、分析が多く充分に載せきれていないという点や、日本語と外来語の線引きに関する明確な論文が見つからず、やや逸れたところから自分のやりたいところにねじ込んでいるような気がするので今後の課題にしたい。
カタカナ語を若者言葉など様々な観点から考察するためには、しっかりとした線引きを設けないといけないということが分かったので、今後の研究課題にしたい。
引用文献
井上道雄(2004)「カタカナ語(外来語)基本語録550語 その語録特性と選定基準」
稲垣滋子(1,991)「初級日本語教科書の外来語」