こんばんは。風邪で寝込みながらこの文章を打っています。夜ゼミ3年の平村です。
今回は以下の論文の要約です。
角岡 賢一(2004)「日本語オノマトペ語彙の語源について」
『龍谷大学国際センター研究年報』第13巻、pp.15-36
オノマトペは基本的に擬音語と擬態語からなり、典型的に一般語彙とは異なる独自の語源を持っています。しかし、実際に発せられた音を模した擬音語と違って、擬態語は様態を表しているので、語源と表現形式の関係が希薄になってしまいます。
この論文では名詞や形容詞・動詞・形容動詞などの「実詞」から派生したオノマトペを「境界オノマトペ」と定義し、一般語彙を語源としないオノマトペを「真正オノマトペ」と定義しています。
また、角岡(2002)から「オノマトペ標識」とされる以下の5点を取り上げて考察しています。
反復、「り」、促音、撥音、母音の長化
しかし、角岡はこの5種のオノマトペ標識について「オノマトペ語彙に限って適用されるのは「り」のみである」と指摘しています。
例:反復
名詞:ひとびと、木々、家々
形容詞:くろぐろ<くろい、しらじらしい
形容動詞:ほのぼの<ほのかだ、はるばる<はるかだ
副詞:とてもとても、ただただ
感動詞:あれあれ、おやおや、やれやれ
反復することによる意味合いは異なってくるが、これらのような語から「境界オノマトペ」となる語が生じる可能性があるとしています。
さらに、以上の例から実詞とオノマトペについて以下のような図が成り立つとしています。
境界オノマトペ
――――――→
実詞 オノマトペ
←――――――
逆成
ここで指摘されている逆成というのはオノマトペ「ころころ」から動詞「ころがる」が生成されるといった例のことです。
今回の論文について、オノマトペだと思っていたものでもこの論文では境界オノマトペとして扱われるものがあり、自分の取り上げているオノマトペが本当にオノマトペとして扱えるのかと考えさせられるきっかけになりました。現在、多義性について調査していますがこのような別の視点からオノマトペを見つめなおすことで卒論完成の足掛かりになってくれると思います。
就活も近いですがなんとか2足のわらじで頑張りたいと思います。
【参考文献】
角岡 賢一(2002)「日本語オノマトペ語彙の接辞」
『龍谷大学国際センター研究年報』第11巻