役割語の日英対照―ディズニー映画とジブリ映画における「女性語」を中心に―

 こんにちは。昼ゼミ2年の宮澤です。

 普段から話が長いと言われてまして、要約もなんだか長くなってしまってます。すみません…今回は短くまとまったと思います!

 さて、今回は、

  関口秋香(2016)「役割語の日英対照―ディズニー映画とジブリ映画における「女性語」を中心に―」『東京女子大学言語文化研究』第25巻、pp.32-46

を要約しました。この論文自体は日本語と英語を比較していますが、今回は日本語に関連する点のみを扱いました。

 この論文は、アニメ映画内の女性語について考察し、時代の変化と共にアニメ内の女性語の出現数にも変化があると主張しています。

 ここでは、レイコフ(1985)が挙げた女性語の特徴のうち4つにしぼり、その特徴に当てはまるものを女性語として換算しています。

①感情表現(例:おやまあ)

②言いよどみ表現(例:まあ)

③共感を求めるための付加疑問文(例:暑いわね)

④強調表現   ←この論文に日本語の例はありませんでした

※③は、「男性は情報確認を求めるための付加疑問文を多く用いる一方で、女性は共感を求めるための付加疑問文を多く使う傾向がある」とするHolmes(1995, pp.79-86)の考えに基づき、この論文では「共感を求めるための付加疑問文」に限定して換算している。

 筆者は、少女が主人公のジブリ映画を調査対象として、ヒロインが発する全台詞のうちの女性語の割合を制作年代順に下の図に表しました。

(作品名は、1は『風の谷のナウシカ』、2は『天空の城ラピュタ』、3は『となりのトトロ』、4は『魔女の宅急便』、5は『もののけ姫』、6は『千と千尋の神隠し』です。)

<グラフから見られる特徴>

・5.サン以降、女性語の割合が急激に低下している。

・1.ナウシカは戦うことも多く、たくましい少女であるが、女性語の割合が高い。

・ヒロインが小学生である3.サツキと6.千尋を比較すると、同じ小学生でもサツキの方が女性語の割合が高い。

<考察>

 ジブリ映画で描かれるヒロインは、1作目から一貫して「意思決定は自分自身でする自立した女性」である点が挙げられます。しかし、ヒロインの女性語の使用率には変動がありました。筆者は、この変動は社会の動向と意識が関係していると考えました。そこで、性差に関する社会の出来事を見てみると、1986年に「男女雇用機会均等法」が施行され、女性の社会進出が促されています。しかし、その後のジブリ作品でも女性語の割合が高いものがあります。その理由として、筆者は、法が施行されても、それが社会に影響して、意識が変化するには時間がかかるからだと考察しました。これらの結果から、この論文では、実社会の女性の立ち位置が、アニメでのヒロインの言葉遣いに影響していると結論付けています。

<自分の意見>

 公開された時代とアニメで扱われた時代が異なる場合、女性語の割合はどのような傾向を示すのか疑問に思いました。例えば、女性が主人公である『コクリコ坂から』は、題材となった時代は戦後間もないですが、公開は2010年代です。このような場合は、ヒロインの言葉遣いはどちらの時代に合っているのか気になりました。

 私は女性語について調査したいので、今回の論文で出てきたレイコフによる女性語の特徴を見ていく必要があると分かりました。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です