「~っス」という表現について

こんにちは。夜ゼミ二年の松蔭です。最近外に出られないので筋トレを始めました。めんどくさがりの自分は三日坊主になってしまうかもしれないと危惧していたのですが、意外にも2週間ほど続けられています。これからも継続していきたいです。

 さて、今回は次の論文を要約しました

守田 美子(2021)「日本語における2タイプの「ス」体とその語用論的機能」『人間生活文化研究 Int J Hum Cult Stud.』 No.31 p14-23

 この論文では敬語を崩したような形の「ス」という表現を「親しみのこもった敬意」と「ノリのいい若手男子といったある特定の印象や自分の印象を相手に伝える」機能を持った二つのタイプに分け、その語用論的機能について考えることで、「ス」体がある時は敬 語として解釈され,ある時は礼儀に欠けた言い方 としても解釈されうるという問題について説明している。

 先行研究では後者の「ス」は前者から変化する連続体として扱っているが、ここでは敬語タイプのものを「です」の短縮形として、後者をキャラ語尾の一種である談話標識であることを主張している。

 前者の「ス」は「です」の省略形であるため、動詞の後に生起せず、もし生起する場合は「のです」の省略形になっている。しかし、「僕が行くっス」における「ス」は「僕が行くのです」ではなく「僕が行きます」の省略形であると考えた方が自然である。前者に対し、後者の談話標識としての「ス」は「です」だけでなく「ます」の代替としても機能しているため、動詞の後に自由に生起することが出来る。このようにこれら二つの生起が異なっていると考えることが出来る。

 語用論的機能について

前者の「ス」には「親しみのこもった敬意」が含まれている。「です」は丁寧体であり、相手に対する敬意を表すと考えられ、それを「ス」と省略することは相手に対する「親しみ」を示す手段として行った明示的な意図伝達行為である。聞き手がこれを解釈することで「親しみのこもった敬意」という関連性に到達できる。

 後者の「ス」は関連性理論における発話の高次表意を明示していると仮定することで、文脈によって相手への親しみとして解釈することもできるし、堅苦しい礼儀作法に捕らわれない自由なキャラであることを表現する手段と受け取ることもできる。

 以上のことから「ス」をカジュアルな敬語として、または文脈によって変化する談話標識としてとらえることで「ス」体がある時は敬 語として解釈され,ある時は礼儀に欠けた言い方 としても解釈されうるという疑問を自然に説明できる。

自分の意見

 よく耳にする表現である「ス」は、この表現だけを聞くと「失礼だ」と感じるのですが使う場面によって不快感がほとんどない、ということにとても納得できるものでした。