「現代のリアルな若者の若者言葉の使い方とその心理」

 こんにちは。昼ゼミ2年の芝﨑です。

 早めに終わらせようと思っていたはずの課題が残ったまま9月に突入してしまいました。早く終わらせた方が楽なのに、、と思いつつもなかなか難しいですね。

 今回は、以下の論文を要約しました。

石原一輝, 金和達也, 舘一輝(2020)「現代のリアルな若者の若者言葉の使い方とその心理」『金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習 [編]』第15巻pp.33-46 金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習

 この論文では、若者の言葉遣いとその心理がインターネットの影響下にあることを「普通に」の用法を通じて論じている。

 先行研究(井本)より、「普通に」という副詞は、3つの修飾関係を構成し、予想と結果の間において使用され、その文脈は以下の4つに分類される。

 ①肯定的予想をしていて、肯定的結果を得る場合

 ②否定的予想をしていて、肯定的結果を得る場合

 ③否定的予想をしていて、否定的結果を得る場合

 ④肯定的予想をしていて、否定的結果を得る場合

 本当に先行研究の主張するような使い方を日常のコミュニケーションの中で若者が使用しているのかアンケートを実施した。

 a)現代の若者のコミュニケーションにおいて「普通に」を、井本のいう副詞的使い方をしているのか。日常会話では、それ以外の心理的側面が強いのではないか。

 b)若者のコミュニケーションは、若者特有なのか。昔と今とで異なる他の周りの社会、時代の影響を受けて形成されていくからこそ、現代では年配者である「昔の若者」との間隔のズレを感じるのか。

 まずa)について、大学生とそれより上の世代に調査した結果、分類された文脈のうち①の使い方は世代に関係なく使われていることがわかった。しかし、②から④になるにつれて「大変違和感がある」と答えた割合が、世代ごとに増えていった。特に、④のようなコミュニケーションの中で、表現を曖昧にするような、婉曲的な使い方は、大学生以外にとって馴染みのない不可解な使い方であるらしい。

 以上のことから、年齢が若くなるにつれて年配の方々が違和感を覚えるような言葉を使っているとし、これは若者のコミュニケーション心理が原因だと考えた。

 次にb)について、「Nishijima(2020)によると、20年前と比較して、若者どうしは付き合いの中で相手を傷つけないように、そして自分が傷つかないように行動するようになっており、それはコミュニケーションの意識にも表れているという(p328-329)。」インターネットを介したコミュニケーションをとる機会が増加し、それに伴って相手の気を損ねないよう、より相手に気を使った表現をとる必要が高まっているからだとその根拠を述べている。

 今回調査した若者言葉以外からも同様のことが言えるのかについて、この論文の今後の課題としても挙げられていましたが、私も卒業論文のテーマの一つとして、候補を探してみたいと思いました。

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