「今どきの「大丈夫です」―その使用実態(2013) 「大丈夫です」は若者ことばか? Today’s “Daijobu”—it’s actual state of use in 2013 ~Is“Daijobu” really young people’s language? ~」

 こんにちは。昼ゼミ2年の芝﨑です。

 パソコンの調子が悪かったのか、何故か公開をクリックするといつもエラーが出て最初のページに戻ってしまっていたのですが、今日何とかあげることができたので、連続で申し訳ありませんが、完成分全て投稿させていただきます。

(こんにちは。だけは今の時間で統一しましたが、他はそのままにしてあり、挨拶文が少し古く感じるものもあるかもしれません。すみません。)

 今回は、以下の論文を要約しました。

山下早代子 (2013) 「今どきの「大丈夫です」―その使用実態(2013) 「大丈夫です」は若者ことばか? Today’s “Daijobu”—it’s actual state of use in 2013 ~Is“Daijobu” really young people’s language? ~」『明海日本語』第18号,pp.285-312,明海大学

 この論文では、最近の「大丈夫です」が使用される状況、場面、使う人々の年齢、性別、仕事経験の有無により、意識が異なるかどうかを述べている。

 9つの「大丈夫」使用場面を設定し、20代から80代までを若者、中年、シニアに分けてアンケート調査をした結果が表2である。

 9場面中5場面で有意差が出た。全て「自分が使う」の人数が、シニアより若者に多かった。特に場面6【許可願い】と場面7【断り】では「自分が使う」という数で多い順に若者>中年>シニアとはっきり区別でき、新たなことばの使用は若者から始まるということを示している。また、場面8の本来の使用法は、ほとんどの人が「自分が言う」と答え、統計的にも差はなかった。これは「大丈夫」本来の使い方も残しつつ、新たな用法、機能が加わっていっていることを表している。【許可願い】は、聞かれた相手にとっては返事を明確に返さなければならないという負担を負わすことになる。これはBrown & Levinson(1987/田中監訳、2011)のポライトネス理論の、相手のネガティブ・フェイスを犯すことになるため、直接的な依頼表現を用いることをさけて相手への負担を軽減している。【断り】という発話行為も相手のネガティブ・フェイスをつぶす働きを持つので、それを緩和するための方策として相手を立てるようなネガティブ・ポライトネスとして使うのではないかと考えられる。

 以上、「大丈夫」に関する意識は、性別や仕事経験の有無では差がなかったが、場面や年齢によって異なることがわかった。「大丈夫」は若者によって多く使われていることが示されたが、米川(2006)が定義したような「若者ことば」として厳密には区分できない。むしろ、井上 (2008)の提唱する言語変化としての新方言としてとらえると説明がつく。現在若者が多く使用している様子が顕著である「大丈夫」は、「若者言葉」としてこの時代に存在するのではなく、ラ抜きことばなどのようにいずれ主流となる使い方の一過程を示しているのではないかと思われる。

 有意差が認められた項目のみカイ二乗分析(残差分析調整を含む)が行われていたが、比べる基準を合わせるものとして採用しているのであれば、有意差が認められないものも全て結果を示した方がわかりやすかったのではないかと感じた。

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