若者ことばに見る(間)主観化について-「大丈夫」の新用法に注目して-

 こんにちは。昼ゼミ2年の芝﨑です。

 要約が苦手な私にとっては今回の課題が今までで1番辛い課題かもしれません。

川口良(2017)「若者ことばに見る(間)主観化について-「大丈夫」の新用法に注目して-」『文学部紀要』31-1号,pp37-57,文教大学文学部

 この論文では、「大丈夫」の意味機能はどのような変遷をたどり、断り表現「大丈夫」はどのように位置付けられるか述べられている。

◎「大丈夫」の変遷

◎「断り表現」の「大丈夫」

⑴店員1:こちら袋にお入れいたしますかー。

    (袋に入れないと困るのではないか)

  客1:はい、(袋に入れなくても)大丈夫です。

⑵店員1:はい、ありがとうございまーす。レシートお持ちになりますか。

    (レシートがないと困るのではないか)

  客1:あ、(レシートがなくても)大丈夫です。

⑶店員1:温かいものと袋お分けいたしますかー。

    (温かいものとは袋を分けないと問題が生じるのではないか)

  客2:はい、(袋を分けなくても)大丈夫です。

⑷店員3:Tポイントカードお持ちですか。

    (Tポイントカードにポイントを付与しないと、不利益が生じるのではないか)

  客3:Tポイントカードを持っていないのでポイントを付けなくても)大丈夫です。

(川口2016:p.6)

 発話を見ると、「大丈夫です」は、前節の省略部分をもって発せられていると考えることができ、聞き手の発話に十分な注意が向けられている。⑴~⑷の「大丈夫です」が前提とする「聞き手の懸念」とは、それぞれ、例文下にある店員の客に対する懸念や心配を想定することで、それを打ち消す意味で「大丈夫です」が用いられたと考えられる。

 尾崎(2016)は、「コーヒーのお代わりは大丈夫ですか」のような問いかけを「相手の不利益や問題のある状態を想定し、そのままでもよいのかと気遣う言語行動」で、それに対する客の「大丈夫です」という答えは「自分の不利益や問題のある状態を想定した上で応答している」と論じているが、話者は「大丈夫」を選択しているのではなく、聞き手に対する何らかの配慮が働いているのではないか。これは、「大丈夫」の用法がすでに「間主観化」して、「相手の懸念や心配を打ち消す」配慮表現として機能していたことに起因するものと考えているためである。

 以上のことを踏まえ、「大丈夫」の新しい用法は、相手の主観性によりいっそう配慮するようになった、話者の間主観性がより強まったものとして考えられ、「大丈夫」の「間主観化」が新たな段階に進んだことを示すものと言える。

 この論文の前半部分である「大丈夫」の意味変遷にに見る「(間)主観化」では、意味、時代、用法、初出など事細かに情報が書かれている上に、最後には図でまとめられている点がとても分かりやすかったので、私も時代や歴史など、時系列に関する解説では、図を取り入れたいと思いました。

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