名前の言語構造

 こんばんは。昼ゼミ2年・名原です。高3の冬に普通自動車免許を取りましたが、公道は怖すぎるので多分まだ10回も乗っていません。「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……。」

 

 こちらは

窪園晴夫(2005)「名前の言語構造」『言語』第34巻第3号、pp.58-65、大修館書店

 を読んでの論文レポートです。

 

概要

 この研究では、英語と日本語における命名の技法の特徴を明らかにする。英語では「頭韻」が重要だが、日本語ではその感覚が分かりにくい。それでは日本語における命名の技法はどのようなものがあるのだろうか。

 

「頭韻」

 英語の命名においては重要な技法。例えばイギリスの小説『ハリー・ポッター』の寮の創設者名にも用いられている。

(1)Godric Gryffindor, Helga Hufflepuff, Rowena Ravenclaw, Salazar Slytherin

 このように、隣接する単語が同じ子音で始まる。頭韻には、リズムを生じさせるという効果がある。なぜ語の初めを統一するのかというと、略語が語の頭を取ったものが多いことや、吃音が単語の初めで生じやすいことから、「初めが肝心」であるからだと筆者は考察する。

 

日本語における頭韻

 頭韻は日本語の場合、リズムを感じにくい。例えば「ゴドリック・グリフィンドール」の語頭の子音が同じであるという感覚は実感しにくい。

 しかし、語頭の子音と母音がセットで同じである場合は実感しやすくなる(例:「ボビー・ボンズ(Bobby Bonds)」)。

→日本語がモーラリズムの言語であるため。

 

日本語の命名の技法

 頭韻は多用されないが、音を利用した造語がある。

  (2)音の類似性を利用した造語

     阿久悠(悪友)、ミノルタ(稔る田)

 音を利用したもの以外では、以下の3つが挙げられる。

  (3)混成語

     破く(破る×裂く)、大田区(大森×蒲田)

  (4)逆さ言葉

     サントリー(鳥居さん)、ジュンク堂(工藤淳)

  (5)複合語短縮

     ジャガイモ(ジャガタラ芋)、経済(経世済民)

感想

 言語の特性によって命名の技法も違うということが、英語と日本語の比較によって明確に説明されていた。この論文では命名においては「頭韻」がリズムを良くすると述べられていたが、例えばラップは「脚韻」で韻を踏むことが多いのではないかと考えた。頭韻と脚韻の効果の違いにも興味が湧いた。

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