『ドラえもん』のひみつ道具におけるネーミングの法則

こんにちは!夜ゼミ2年の鈴木です。

2か月前のZOZOTOWNでの買い物をツケ払いにしていたことをすっかり忘れていて、危うく滞納するところでした(笑)季節の変わり目は毎年着る服に悩んでいる気がします。

さて今回は、以下の論文を要約しました。

田中良樹(2021)「漫画『ドラえもん』の「ひみつ道具」にみるネーミングの法則ーお菓子にみるネーミングの法則と比較してー」『金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習 [編]』第16巻pp.71-86金沢大学人間社会学域経済学類社会言語学演習

この論文は日本の児童漫画『ドラえもん』に出てくる「ひみつ道具」のネーミングについて、同じく児童を対象としている「お菓子」のネーミングと比較し、文字種、意味、機能による分類においてどのような違いがみられるのかを検証している。

1.文字種による分類

ひみつ道具(全1600種)の1つあたりの単語数は約2.6個、お菓子(193個)は約3.1個であった。よって、ひみつ道具はお菓子よりもシンプルな構成になっていることが分かる。

 また名称にアルファベットが含まれている数についてはお菓子よりもひみつ道具がかなり少なく、読者の大半が子供であること、縦書きで書かれる漫画の吹き出しとの相性が悪いことが考えられる。一方漢字は1600個も使われており、色や空白などの工夫がしづらい漫画において同音異義語を区別するために漢字を用いていると考えられる。

文字種の組み合わせで一番多いのは「カタカナ+カタカナ」で、「漢字+漢字」はその約3分の1しかなかった。これは漢字のみの構成が堅い印象を与えてしまうこと、児童向けに漢字を避けていることが考えられる。一方で、「人間製造機」や「命令銃」のように、あえて漢字を使用して堅く怖い印象を与えているものもある。

また語頭に来るのは漢字の方が多く、カタカナは英単語を表記する際に使用されることが多く、多様な組み合わせをすることが難しいのだと考えられる。

2.意味、機能による分類

 ひみつ道具、お菓子ともに名称に外見の要素が多く含まれていた。お菓子は顧客が商品名から味や素材を想起しやすくすることで購買意欲を高める狙いがあるといえる。一方のひみつ道具は購買を促す目的ではなく、読者の覚えやすさを重視した結果だと考えられる。またひみつ道具の名前は単体でそのものの効果や機能を断定できない曖昧さを持ち、読者の期待感や想像を膨らます狙いがあると考えられる。

以上のことから、「ひみつ道具」と「お菓子」のネーミングにおける共通点は、少ない単語でシンプルな構成であるということ、相違点としてひみつ道具はアルファベットの使用数が少なく、名前から商品を具体的に伝えようとするお菓子と比べ、読者の想像力を高めるためにその特徴をわかりにくく伝えるネーミングがみられた。

自分の意見として、様々な種類のあるお菓子はその対象も幅広いため、『ドラえもん』との比較は少々難しいように感じた。またお菓子とひみつ道具ともに、誕生した年代や対象とした年齢層、性別等によるネーミングの特徴についても気になった。

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