敬語の目的別分類

こんにちは。夜ゼミ二年の矢内です。

今スターバックスでこれを書いているのですが冷房が効きすぎて寒いです。店員さんに冷房の温度をあげてもらおうか迷っています。

今回私が紹介するのは、

浅田秀子(2005)「敬語の分類―表現と行為目的の見きわめ―」『日本語学』24巻9号p24‐34 (明治書院)です。 

1.目的別の分類

(1)階級遵守語:下位者が上位者に依頼・謝罪する際に用いる敬語。日本独自のもの。

(2)礼儀語:対等な人間関係において潤滑油としての役割を果たす敬語。海外に多い。

(3)自己品位語:上流階級の人が自分の階級を誇示するために用いる敬語。

 下層の人々がわざと汚い罵りをするのもこの一種=仲間内での連帯感を強める

2.現代敬語の用例

(4)A=20代女性 B=50代男性警察官

A:「ちょっとお願いしたいんですけど。」

B:「なに?どうした?」

【A→B】「お~する」(謙譲語)+「です」(丁寧語)、文末の省略

→Aの利益になる依頼・Bの利益にはならないため、丁重度の高い階級遵守語

【B→A】Aの発話の丁重度から内容を察知→階級遵守語に則った返答

※Bがやさしい口調で発話した場合

階級遵守語ではなく、親しみを込めて敬語を使用していない

→・Aがこれを不快に感じれば敬語を外さずに距離を保つ(相手をソト扱い)

 ・Aも敬語を外して会話をすると仲間内扱いとなるが、BはAの依頼を断りやすい

(5)A=60代TV司会者 B=20代出演者

A:「そんとき、あんたはどうしたん?」

B:「俺の嫁にならんか。言うた。」

【A→B】仲間内のように無敬語で質問

【B→A】敬愛の念を込めて無敬語で返答。自分の親のような年齢のAに甘えている。

→礼儀語を用いた会話よりも距離感が近く、本音を話しやすい雰囲気になる。

(6)A=30代女性 B=4歳の幼女

A:「アタチはだれと来たんでちゅか」

B:「うぇーん…」

【A→B】「アタチ」:本来自称詞の「わたし」の幼児語→Aが心理的にBと同調

              「来たんでちゅか」:Bの弟・妹の立場で階級遵守語を用いる

  →姉としての役割(泣かずにはっきりとした返答をすること)を期待

   ※「アタチ」が「お姉ちゃん」になった場合も同

3.自分の考え

階級遵守語が多く登場したが、(4)の会話でBが敬語を使わずに発話したのは自分の階級(職業)によるものなので、階級遵守語ではなく自己品位語なのではないか。