間投助詞のスタイル切り替え

 こんばんは、夜ゼミ3年の栗田です。就活でさっそく説明会を二社ほど間違え、行きそびれました。しかしその代わりに学内企業説明会に飛び込み、全く知らなかった会社の人事の方と1対1で楽しくお話しできたので、±ゼロかと考えております。しかしながらスケジュールやメール、持ち物の管理の大変さを痛感しています。今後はより一層気をつけたいです。 さて、今回は卒論のテーマにしようかと考えているものに関わる、以下の論文をご紹介したいと思います。

篠原玲子(2005)「間投助詞のスタイル切り替え:方言間の対象研究」『阪大社会言語学研究ノート』(7)、pp39-50、大阪大学大学院文学研究科社会言語学研究室

篠原は、津軽方言話者、東京山の手方言話者、京都市方言話者が用いる間投助詞を取り上げ、フォーマル場面における間投助詞の使用に注目して、「ネ」を用いる場合、「ネ」以外を用いない場合に大別し、以下のように分析している。ちなみに「ネ」以外の形式として、「ナ」「サ」(津軽、東京山の手、京都市)「ヨ」(津軽)があらわれたとしている。
定義:対若者への会話→カジュアル 対調査者への会話→フォーマル
結果:
①津軽→場面に関わらず、ネを全く用いない
(1)ま、高校ほどで ねーはんでな。つーが、高校にも よるけどよ。 それによ、中学校、軟式だばな。高校の 野球ど 全然 違うしよ。(カジュアル)
(2)あの、硬式は わかんないですけど。軟式野球は、その、その年に よって 全国大会の やる 場所が 違うんですけど。いろんな 地区で。はい。(フォーマル)
②東京山の手→カジュアル・フォーマル両場面でネを用いる
(3)え だって お前 そのままさー ち、忠実に 実行して どーすんだよ お前 そのままさ 直江津支社からさー(カジュアル)
(4)あー。でもなー、そっか そー 考えると きついよなー 確かになー あーゆー あんまりねー 強い 建物 建てる っちゅうのもねー、(カジュアル)
(5)一時期 すごいね、1年 2年ぐらい 前はね すごぃ ぐっと あがったんですよ。(フォーマル)
③京都市→フォーマルな場面でのみネを用いる
(6)そんで もー 俺 古典はなー、授業は き、あ、最初 聞ーとって、で、ある程度―、わかるやん。ほなら もー 自分でな 別のー そーゆー、教材を、自分で 買って 読んでんねん。(カジュアル)
(7)あのねー、西陣織ー、関係でですね、金襴 って ゆーのが あるんですよ。(フォーマル)
分析:津軽方言ではフォーマルであってもネを全く用いないことから、間投助詞自体がぞんざいさを表しているか、使いにくいと考えられる。東京山の手方言でも、ネを含む間投助詞の使用はぞんざいさを表すが、フォーマルな場面でデス・マスとネが共起されることから、ぞんざいさを表すマーカーにはならない。京都市方言では、カジュアルな場面では方言系ナを使用し、フォーマルな場面でネを単体でも用いることから、共通語形ネは方言形ナよりも丁寧な語形である。

 以上が要約になります。京都市方言でネが優位に立っているというのは面白いと思いました。しかしこの論文は対調査者=フォーマルとしており、その中の例文でフォーマルとは言い難いものもあったため、結果がもう少し変わるのではないかと考えられました。しかしながら、方言の面から口語的な間投助詞を見ることが出来たため、卒業論文に役立てればと思います。

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