「なんか」の意味と用法

こんばんは。昼ゼミ2年の小林です。提出が遅くなって申し訳ありません。春休みに入って心身ともにたるみまくっています。先日久しぶりに体重計に乗ったら2kg増えていました。お餅は全然食べなかったんですけどね…。身体も精神もしぼりたいものです。がんばります。

さて、今回私が紹介する論文は、渡邊久美(1997)「「なんか」の意味と用法」『広島大学留学生センター紀要』第7号 pp.49-63です。この論文では会話の中でよく用いられる「なんか」という言葉を取り上げ、その意味と用法を明らかにすることを目的としています。
まず渡邊は、「なんか」と連語である「なにか」の意味について森川(1991)の先行研究を中心に、「なにか」というのは不定表現の一つであるとまとめています。「不定表現とは、ある時点において、話し手にとって不明・未知であるか、それ自身が不定・未知であるかのように見える対象を、そのような在り方のままに叙述する言語表現である」(森川)
以上をふまえて、渡邊は「なんか」と「なにか」の違いにも着目しながら、「なんか」の意味を8つに分類しています。

①先行並立用法
「なんか大切なことを伝えたいのに上手く言葉が見つからない。」
②代名詞的用法
「何かを感じとるんですよね。」
③副詞的用法1
<なんか><述語句>
「何か手伝いましょう。」
④副詞的用法2
<主語><なんか><特定の叙述形式>
※特定の叙述形式とは述語句の「ようだ」「みたいだ」「らしい」など
「彼女は何かふっきれたように言った。」
⑤後行並立用法
<名詞句><かなんか>
「ビールかなんかある?」
⑥助詞的用法1(例示)
<名詞句><なんか>
「肉なんか持ち寄ってバーベキューをしよう。」
⑦助詞的用法2(軽蔑・軽視・謙遜)
「あなたと結婚なんかしませんから。」
「私なんかが引き受けていい仕事なのだろうか。」
⑧フィラー
「先行きもなんもないし…なんかもう…」

渡邊はこの分類をしたうえで中間的な用法の「なんか」の存在について言及しています。それは副詞的用法とフィラーとの中間的な用法です。次の例文を見てください。

「先輩、何かごまかそうとしていませんか?」
「え、ごまかす…?」
「なんか心の中にポッカリ穴があいてて…」

この「なんか」は最後の一文だけを見れば副詞的用法といえますが、会話全体の流れでみるとフィラーともとれると渡邊は述べています。また、フィラーの用法に関しては、フィラーが副詞的用法から派生したものと考えるなら「なにか」も使えそうだが、フィラーの「なにか」がなかったことも言及しています。渡邊は、「なんか」と「なにか」の違いについて、同じ不定表現の中でも、「なんか」の方がよりあいまい性・非限定性の高い表現なのではないかと考えています。このように「なんか」がもともと持っていた不定表現のような意味から、フィラーとしての用法を持つようになったのではないかとしています。
また、書き言葉で表される「何か」は「なんか」ということができるのかということについて調査をすすめる必要があるとしています。

この論文で私が面白いと感じたことは、「なんか」と「なにか」の違いについて触れていることです。そもそも私は自分が普段よく使ってしまう「なんか」に興味を持ち研究をしてみようと思ったのですが、「なにか」との違いについては全く考えが及んでいませんでした。フィラーでは「なにか」は使わないということに関しては確かにそうだと初めて気付きました。しかし、渡邊の「なんか」の意味の分類については再度検討する必要があるのではないかと感じました。渡邊自身がいっているように分類にきれいに収まらないような中間的な用法もすでにあります。また⑤は⑥の例示と同じ意味なのではないかと私は思いました。まとめられるものはまとめた方がスマートな分類になるのではないかと考えました。今後「なんか」と「なにか」の違いについても視野に入れつつ研究を進めていきたいです。

引用文献
森川結花(1991) 「「なにか」の用法と意味・機能」『STUDIUM』pp.97-111