仲間意識を高める効果についての論文要約

こんにちは。昼ゼミ3年の前橋です。

先日、運転免許の試験の期限がギリギリになってしまったので、急いで試験を受けて免許を取得してきました。とりあえず一息ついたので、就活に専念しようと思っていたら、おととい、自分のメインPCのデスクトップがついに限界を迎えました。もしゼミに手頃な価格でゲーミングPCが組めるという方がいたら連絡下さい。


さて今回は、松橋『若者言葉による親密性の形成について―女子大学生の会話を例に―』(webで公開されているのですが、URLの添付が上手くいかないので、「松橋那実」と検索していただければいちばん上に表示されると思います)を要約しました。

松橋は、若者言葉特有のスピーチスタイルの特徴を調べ、様々な機能を述べた上で、若者言葉が仲間意識を高めるために関わっているとする8つの要素を挙げている。

現代の若者は対人関係の上で対等にコミュニケーションを取るのではなく、第3者的視点に立ちたいという願望や、競争(摩擦)を回避したいという願望が表れていると述べている。これがネガティブ的に極端になると、他人との関係を完全に遮断してしまうということになるが、若者の間に見られるのは、このような単純な自己閉鎖ではない。

松橋は、若者の間での人間関係について、NHKや博報堂での調査をもとに、対人関係について「積極的に関係するもの」と、「その相手と強い・濃い対人関係を持つことへの消極性」が見られるという結果をまとめている。そのうえで、松橋は、若者の発話行為は対人関係の設定に聞き手の加担を引き込む方略と考えられると述べている。

1

A あの服どうかなぁ

B 私は好きじゃないって感じ

2

A あの教授の授業楽しい?

B 超眠いみたいな

このそれぞれのBの発話は、それぞれ

「『好きじゃない』って感じの(ことばがあてはまる)服」

「『眠い』みたいな(ことばがあてはまる)講義」

というふうに解釈することができる。ここで、述べたことについて述べるメタレベルの立場に身を翻すのである。「私は好きじゃない」「超眠い」という発話によって設定される対人関係への関わり合いを、発話者は「って感じ」「みたいな」を付して転調することで間接化する。と松橋は述べている。これが、対人関係の摩擦を避けたいという意識に基づいており、仲間意識を高める効果につながっている。

次に松橋は、仲間意識を持つ効果のある若者言葉の表現方法をまとめている。


1.語彙レベルの強調表現

「超」「マジ」など様々なものがある。これらの強調語は、会話のノリをよくするためのものであり、ノリの良い会話はテンポの良い会話を生み出し、この阿吽の呼吸とでもいうような会話が仲間意識を高める要因になっている。

2.断定を避ける表現

「~みたいな」「一応」など。真っ向からの意見の対立を避ける効果がある。

3.省略表現

語を省略することによって、会話の速度向上と、それによるノリの良さを生み出している。

4.「る」言葉

「愚痴をこぼす(言う)」を「愚痴る」などと言い換えることによって会話のテンポを良くする効果がある。

5.「ラ抜き」言葉

受け身、可能、尊敬、自発の意味を効果的に表現できる。これにより、意味が不明瞭な会話を生み出さない。

6.平板アクセント表現

これは、井上(1998)で述べられている「専門家アクセント」に関係している。専門家の間では、言葉を平板化して発音する現象が見られ、それが派生し、より身近な、親しい仲で使われるようになり、その後若者の間で一般化したと考えられる。

7.尻上がりイントネーション

こちらも井上(1998)で述べられている「ネサヨ」表現のなり替わりとされている。「それでネ~」「それでサ~」「それでヨ~」といった言葉づかいはキツく聞こえてしまうから、それに代わる言い方として台頭してきた。

8.半疑問イントネーション

相手の認識を確かめるための「わかる?」などの直接的な質問を避け、丁寧な感じを与えるとともに、その質問の時間を短縮することで会話の持続性を上げるという効果を持っている。

さて、ここまで見てきて、自分が調べている「若者言葉におけるアクセントとイントネーション」でひとつの重要なファクターである「仲間意識を高める」という効果について様々な方向から見ることによって、その本質や由来などに近付けたという気がしました。自分の研究にはまだ抽象的な部分が多いので、特定の観点からだけでなく、様々な観点から考察を深めていきたいと思います。

使い慣れないPCでなぜかコピペもうまくいかなかったので、少々お見苦しい点もあるかとは思いますが、ご容赦ください。

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