依頼と断りにおける間接的コミュニケーション

こんにちは。昼ゼミ三年青木です。提出遅れ申し訳ありません。新年になって、就職活動が本格化しているようですが、自分らしさを大切に今度とも過ごしていきたいです。

今回は、高井次郎「依頼および断りの状況における直接的・間接的対人方略の地域比較」を要約しました。日本人のコミュニケーションにおける方略の研究です。

 日本人は直接的なコミュニケーションを嫌い、間接的な方略を好むことに対して、西洋人は直接的な方略を選好することが定評のあるステレオタイプである。日本人の国民的ステレオタイプである間接的な方略の選好は、グローバリゼーションにより時代錯誤になっている可能性がある。つまり、個人主義が日本人に浸透し、従来の他者思いのコミュニケーション習慣から、自己主張的なコミュニケーションスタイルになっているかもしれない。

本研究は、日本的と思われる対人コミュニケーション方略の特徴を国内の各地で確認できるか試みた。①相互作用相手の親密性によって行動を明らかに区別すること、②相互作用相手の地位格差によって行動を区別すること、③状況によって行動を区別すること、を各地域で等しく観察できるかを調べることを目的とし、依頼と断りの状況に焦点を当て、地域×親密性×地位格差×依頼の重大性が直接的・間接的コミュニケーション方略の選好をどのように影響するのかを検討した。

方法として、被験者は大学生410名で、北海道、千葉県、愛知県、兵庫県、福岡県で依頼に関するものと断りに関するものの二種類の質問をした。標的は、親密性の高低、地位格差の高低によって4つ設定され、また、依頼の重大性により二つの状況を設定した。そして被験者は、その依頼に対して依頼するあるいは断るにあたり、率直的および丁寧直観的の直観的方略と、婉曲的、第三者介入、煽て、および回避の間接的方略の六つの方略をどの程度使用するのか評定させた。

結果的に、地域による差は、最小限の相違性しかなく、地域間の類似性は強調され、日本人の対人コミュニケーション方略の選好は全国的に等しい。状況依存性においては、断りと依頼の主効果がほとんどの方略に見られ、これらの対人方略の使用は、状況に応じて異なることが推測でき、状況の要因が重要視されることが明らかである。また、依頼のコストにより、方略の使用を意識していることがうかがえ、これも日本的な特徴の一つといえる。

おそらく最も「日本的」とされるのは、相手の親密性による行動の区別であるが、身内には「甘え」が許されるため遠慮せず、他人には「他人行儀」を見せることが真髄にある。結果、全方略に親密性の効果があり、各直接的方略はない集団により選好され、各間接的方略は外集団に好まれることが明らかとなった。また、地位の格差について、同位者の者に対しては率直にコミュニケーションを行い、高位者の者には葛藤が起こり得る状況をさけるか、それとも相手の機嫌をとるといった行動を選択しがちである。

全般的に、各地域は等しく「日本的」とされる対人行動規範を遵守している様子が伺えた。本研究は、対人コミュニケーション方略において「日本人らしさ」を実証的に検討し、国内各地でこうした特徴を確認できた。

以上が要約になります。日本人のコミュニケーション方略を改めて、実証的に検討され、依頼、断りにおける間接的方略が日本人的特徴であることが伺われます。「甘え」、「他人行儀」」など、内外集団における方略における違いはポライトネスに則って行われたものと推察でき、間接性が配慮表現に繋がる妥当性を確認できました。

参考文献

高井次郎(2002)「依頼および断りの状況における直接的・間接的対人方略の地域比較」『名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 49』p.p181-190

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