概略副詞「ほとんど」について

 こんばんは。夜ゼミ2年米光です。私はサークルに所属しているのですが、夏合宿が中止になりサークルに入ってから一度も合宿ができていない状況がさらに延びてしまいました。また、普段の練習も中止という判断になり、先輩と過ごす時間がさらに減ってしまったため、悲しい夏休みとなりました。

さて、今回は以下の論文を要約しました。

疏 蒲剣(2014)「概略副詞「ほとんど」について」『言語と文化』16、pp.39-56

 この論文は、「ほとんど」に共起できる動詞や形容詞には制限があるため、「ほとんど」と共起する成分の意味特徴を考察したうえで、その用法について論じている。

 「ほとんど」の修飾先によって、その用法を以下の表のように「動作」「状態」「量」という3種類に分類している。このうち、「動作」と「状態」は単数的な事態で、「量」は複数的な事態である。

・「動作」を修飾する用法

「ほとんど」に修飾される「動作」を「変化動詞」と「動作動詞」 の場合を分けて考える。

まず、変化動詞は単独で「ほとんど」 に修飾されうるもの(ex.「諦める」など)と修飾されないもの(ex.「死ぬ」など)がある。動詞単独で修飾されない場合は「~かける」や「~ところだ」などの形をとる必要がある。

 (1) 彼はほとんど{*死ぬ/*死んだ/死にかけた/死ぬところだ}。

これは動詞の意味に段階性があるか否かに関わっているため、次の(2) と(3)では、段階性における「死ぬ」と「諦める」の違いがはっきり見られる。

(2) 彼は{*少し/*半分/*だいぶ/*ほとんど/??完全に}死んだ。

(3) 彼は就職を{少し/半分/だいぶ/ほとんど/完全に}諦めた。

一方、動作動詞は「ほとんど」に修飾される場合、次の(4)のように動作の達成量をいくつかの段階に分けている。

 (4) {この小説/*この俳句}をほとんど読んだ。

・「状態」を修飾する用法

「ほとんど」が状態性述語を修飾する場合について論じる。状態性述語には形容詞、動詞、名詞があるため、順に見ていく。

形容詞の肯定形と否定形が「ほとんど」に修飾されるか否かによって、以下の表のようにA~D 類に分類できる。

次に、動詞の肯定形と否定形が「ほとんど」に修飾されるか否かによって、 以下の表のようにA~D 類に分類できる。

最後に、名詞の肯定形と否定形が「ほとんど」に修飾されるか否かによって、以下の表のようにA~D 類に分類できる。

・「量」を修飾する用法

「ほとんど」は「量」を修飾する場合、名詞的にも副詞的にも用いられる。

〇名詞的用法の場合

次の(5)~(7)では、「ほとんど」が名詞的に使われている。

(5) 乗客のほとんどが「青春 18 きっぷ」利用者だ。

(6) 現代ではほとんどの人は病院で死ぬ。

(7) 個展は東京の方面がほとんどですよ。

これらの構文には、以下の表のような特徴が見られる。

〇副詞的用法の場合

 「ほとんど」が副詞として、「量」を修飾する用法について触れる。次の(8)、(9)では「ほとんど」が動作または状態に関わる数量を限定している。

(8) 化学療法の副作用で、このころには、もう髪の毛はほとんど抜けていました。

(9) 発声と同時に肩を下げるので、そのとき空気をほとんど出してしまう結果となる。

◎これらの用法に共通しているのはある基準値に限りなく近づいているという点であり、この基準値は当該の事態においてはゼロの点あるいは100%の点でなければならない。

・認定の表現を修飾する「ほとんど」

(10) 彼女はほとんど美しいと言ってもいい。

(11) *彼女はほとんど美しい。

(12)「そうでしたか。それで自分が虚偽を申しているのではないことが立証されました」小原はほとんど勝ち誇ったように言った。

(12)のように、「客観」と「主観」を完璧に分けることが難しいものもあるため、(10)のような「ほとんど」を1つの「客観的性格を備えた程度の副詞」として位置づけることは難しい。

認定の表現を修飾する「ほとんど」は、話し手の感情や気持ち、いわゆるモダリティの領域に関わると考えられるが、これは今後の課題として考察したいとしていた。

 私は「ほぼほぼ」という言葉に興味を持ち研究テーマにしたいと考えていたため、「ほとんど」は似ている表現で用法など参考になる部分がとても多いと思った。また、表を用いていて分類が見やすかったのでこの点も参考にしたい。

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