程度副詞の分類の試み

 こんにちは。夜ゼミ2年の米光です。私は高3まで水泳をやっていましたが、水泳のインターハイの決勝がテレビで放送していたため、家にいた時は必ず観ていました。後輩や友達が出てくることも多々あったので、ついテレビの前に立って大声で応援してしまいました。最近はとても涙脆く、自分も歳を取ったなと実感することがよくあります。(笑)

さて、今回は以下の論文を要約しました。

中山恵利子(1996)「程度副詞の分類の試みーその程度・量・基準によりー」『阪南論集 人文・自然科学編』31巻3号、pp.75-86、阪南大学学会

 この論文は、情態副詞、陳述副詞と組まされ、常に副詞とされている程度副詞について論じている。程度副詞は常に副詞とされてきたものの、詳細な論稿が少なく整理のなされていない副詞のなかにあるため、数少ない先行研究をふまえながら、程度・量・基準によって分類を試みようとしている。

対象語は以下の32語である。

はなはだ・すこぶる・きわめて・だいぶ・相当・少し・かなり・ちょっと・非常に・大変・ごく・ずいぶん・わりあい・なかなか・多少・とても・最も・一番・やや・比較的・もっと・少々・ずっと・けっこう・より・至って・たいそう・よほど・あまりに・いっそう・一段と・ひときわ

程度副詞の分類

〇程度副詞の「程度」

(1) 客観的具体的概念ではなく

(2)言語主体が設定した前提と現実との比較差であり、

(3)主観的な程度性の序列に対応するものである。

〇程度副詞の「量」

純粋程度副詞:はなはだ・すこぶる・きわめて・非常に・たいへん・ごく・とても・いたって・ひときわ

量的程度副詞:だいぶ・相当・少し・かなり・ちょっと・ずいぶん・わりあい・なかなか・多少・最も・一番・やや・比較的・もっと・少々・ずっと・けっこう・より・たいそう・(よほど・あまりに・いっそう・一段と)

〇程度副嗣の「基準」

・絶対程度副詞

程度副詞が共起する名詞(相対名詞)は常に基準を持つものである。

全ての程度副詞が基準との差を程度として表すのにも関わらず、相対名詞と共起しないもの(以下の6副詞)もある。

はなはだ,すこぶる,非常に,大変,とても, (なかなか)

これらは任意の基準を取らないものと考えられる。また、「絶対程度副詞」と名付ける。

絶対程度副詞は常に程度0からの程度のみを示すため量動詞とは共起を拒むはずで、6語のうち5語は純粋程度副詞である。しかし、「なかなか」のみ量を表すかは疑問だが量動詞と共起するため、性質の異なるものである。

・関係的程度副詞

相対名詞と共起する程度副詞は先ほどの6副詞以外である。相対名詞と共起するということは基準を明示してもかまわないということであり、文に一定の型式を与える。(比較構文)

常に比較を表すもの:もっと,ずっと,いっそう,一段と,より,最も,一番,(ひときわ)

これらは絶対程度副詞とは異なり、内外に設定された任意の程度を持つ基準との比較関係においてその比較差を表すものである。これらを「関係的程度副詞」としている。

しかし、この関係的程度副詞のなかにも「ひときわ」のように、比較差がどのくらいかという大きさを持つものがある。

比較関係(比較差の存在)を示すもの:より,もっと/一番,もっとも

比較差の大小を示すもの:ずっと,いっそう,一段と,ひときわ

・極限的程度副詞

相対名詞と共起する副詞のうち、先ほどの8語の関係的程度副詞を除いたものは比較を明示したりしなかったりする。

以下の4語が持つ程度は極限に近い程度であり、基準(範囲限定)をとるとその程度性が際立つ。これらを「極限的程度副詞」としている。(3語は量動詞と共起しないが、「あまりに」は一定の条件の下で量動詞と共起する。)

ごく,いたって,きわめて,(あまりに)

また、任意の基準を取るのではなく副詞のほうが基準を選択限定する「一番・最も」とは異なる。

・量的程度副詞

相対名詞と共起するものから「関係的・極限的程度副詞」を除いた語が量動詞と共起する「量的程度副詞」である。

量の概念の強いもの:少し,ちょっと,少々,相当,かなり,多少,たいそう,やや

量の概念の弱いもの:だいぶ,ずいぶん,比較的,わりあい,けっこう,よほど

 このように、32語の程度副詞は〔絶対程度副詞・関係的程度副詞・極限的程度副詞・量的程度副詞〕の4つに分類できた。しかし、「なかなか」「あまりに」「ひときわ」のように同グループの他の語と性質を異にするものもあり、「程度・量・基準」 だけでは分類の限界がある。

 最後に程度性の「大まかな」序列についての分析を、採集した用例と作例、そしてアンケート調査の結果により行っていた。アンケート調査は10~80代と幅広く行っており、色んな世代の回答が反映されている結果になっていたため、アンケート調査をする場合は私も若い世代に限定せず行うことができればよいと思った。

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