ツンデレ表現の待遇性—接続詞カラによる「言いさし」の表現を中心に—

こんにちは。昼ゼミ2年の田久保です。

先日秋葉原に行く用事があったのですが、そこで本物(?)のメイドさんを見ました。しかも大勢いました。思わず、「日本すげー!」と思ってしまいました。

さて、今回は次の論文を要約しました。

西田隆政(2009)「ツンデレ表現の待遇性—接続詞カラによる「言いさし」の表現を中心に—『甲南女子大学研究紀要, 文学・文化編』第45巻pp.15-23

要点

ツンデレ表現を待遇性の側面から使用上の特徴を検討している。特に、接続詞カラによる「言いさし」と他のツンデレ表現の違いを明らかにしている。

この論文での主張

ツンデレ表現に見られる、本心を隠しつつそれを察するよう要求する接続詞カラによる「言いさし」(典型的なツンデレ表現)は待遇面での制約が見られる。しかし、同じツンデレ表現でも、心の動揺を表すつっかえの表現は待遇による制限を受けない。

この論文では、ツンデレ表現を

ツンデレとされる、強気で不器用なキャラクターが、特定の相手に対して、自分の心が動揺したときに、それをごまかすために使用する表現。

としている。

カラによる「言いさし」の待遇

いくつかの漫画の登場人物の会話とその背景を例に、ツンデレ表現に見られる「言いさし」は話し手と聞き手が対等な関係のときにのみ使用できることを主張している。特に上位者から下位者への接続詞カラの「言いさし」によるツンデレ表現は原則使用できない。その理由は、接続詞カラによる「言いさし」は、自分の本心とは逆のことを言うことで、建前上は隠しておきたい自分の本心を相手に推測するよう要求するものであり、立場が上の者(お嬢様、主人など)がこの表現を使うことは躊躇われるからではないかとしている。(こういった立場の使用者は文末をゾ、やワで言い切ることが多い)

〈自分の意見〉

ツンデレ表現は動揺した時などにのみ使用される常用性のない表現かつ、待遇による制限も受けることがわかった。この制限は上位者から下位者への使用が見られないと言うものであるが、下位者から上位者への使用への言及がもう少しあれば嬉しいと思った。役割語や、これに似た表現のボクっ娘などは待遇による制限を受けないのではないかと疑問が生まれた。