形容詞の副詞的用法について

 こんにちは昼ゼミ3年の丸茂沙耶香です。1月も後半になりましたね。時間があっという間に過ぎていく気がします。体調・スケジュール管理に気をつけて充実した毎日を過ごしていきたいです!
 では、本題に入ります。最近、「すごい美味しい」のように「すごい+形容詞」表現が頻繁に使用されていることに気付き興味を持ったため、調べてみました。以下の論文を要約します。
増井典夫(1996)「否定と呼応する副詞と程度副詞についての覚書」『愛知淑徳大学現代社会学部論集』増刊号 
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●副詞は情態・程度・陳述の3種類に分類することができる。その中で、程度修飾に用いられる形容詞の副詞的用法について述べている。
 「美しく咲く」の美しくのようなものは、一般に「形容詞連用形の副詞的用法」と説明されている。程度修飾に用いられる「すごく」や「えらく」の場合においても、
(1) すごくキレイだ
(2) えらく大きい
一般的に形容詞連用形の副詞的用法と説明されている。
(3) すごいキレイ
(4) えらい大きい
しかしこの場合副詞と説明されることがあるが、互いに別品詞ということに疑問を持つ。
程度副詞の「状態性の意味を持つ語にかかって、その程度を限定する副詞」という点に着目しすべて程度副詞であると説明することもできる。しかし、同じ程度修飾に用いられる「おそろしく」が当てはまらないため、一概に程度副詞とは言い切れないと述べられている。
 ●辞典での扱いについて
 「すごく」の品詞の扱いは何か18種類の辞典で調べている。その結果
① 形容詞(15冊)
② 形容詞・副詞(1冊)
③ 副詞(2冊)
 辞書による定義が統一されていないことが分かり、矛盾が生じている。副詞としてみるのではなく、形容詞の連用形と位置づけるべきと述べている。
●流行語的に用いられる「えらい」「すごい」
 若者言葉において程度がはなはだしいことを強調する副詞的に用いられているが、少しでもより多く自分の気持ちを伝えようとするため、過剰に用いがちになっている。
● おわりに
「すごい」は形容詞の副詞的用法であると述べられているが辞書による違いがあることが分かった。若者言葉においてすごいの代わりにチョーが使用されるようになったとあったが現在では「チョー」よりも「すごい」の方が多用されているのではないかと感じた。「すごい」が程度副詞なのか、意味拡張なのか分かれていたので変遷についても今後考察していきたい。