夜分遅くに失礼します。
先日ばっさりと髪を切った昼ゼミ2年の秋山です。
20センチ切った髪の毛は乾くのが早く、毎日ドライヤーをかけるのが楽しくて仕方がない今日この頃です。皆さん、大幅にイメージチェンジをした私に会える日をどうぞお楽しみにしてください。
さて、今回はこちらの論文を要約しました。
田嶋香織(2006)「オノマトペ(擬音語擬態語)について」『関西外国語大学留学生別科日本語教員論集』第16号,pp.193-205
この論文では、オノマトペについてその分類、用法、また日本語学習者のオノマトペに対する理解度について考察しています。まず、オノマトペとはどんなものなのかが説明してあり、以降は具体的な例を挙げながらオノマトペの活用などについて述べられています。以下その流れに沿ってまとめていきます。
オノマトペは大きく3つに分類される。鳴き声や人の声を描写した擬声語、擬声語以外の音を表した擬音語、そして動作、事物の様態、状態を表した擬態語である。擬態語の内、特に人の感情、心理状態を表したものを擬情語と呼ぶこともある。ここでは擬声語と擬音語をまとめて擬音語、擬情語を含む擬態語を擬態語としている。
オノマトペと呼ばれる表現は日本語には数多くあり、日本語を豊かにする一つの要因となっていると言えるだろうと筆者は考えている。
「フカフカのベッド」、「カサカサの肌がツルツルに」をオノマトペを用いずに表現すると、「弾力があってしかも肌触りのよいベッド」、「水分の不足した肌が柔らかで滑らかな肌に」となる。オノマトペを使用した後者のほうがインパクトがありわかりやすく伝わるのではないかと筆者は考えている。
オノマトペには同じ文字を繰り返さず音や様子を表すものが数多くあり、その文字の組み合わせの法則により、47もの型に分類されている。繰り返しだけではなく、促音、濁音、り音、などを入れることで様々な音や様子が表すことができるのである。これらの数あるパターンの中で一番多いのは、繰り返しの表現で、これは全オノマトペ表現の約3割を占めている。
ここからはオノマトペの活用について着目している。
①動詞として
・ニコニコする・ペコペコする・ムカムカする
⇒一部の擬音語を除き、大部分は擬態語表現から成る。
②形容詞として
・ツルツルのお肌・ピカピカの一年生・水がこぼれて床はビチョビチョだ
③副詞として
・ガタガタ言う・キラキラと輝く・ピカピカに磨く
⇒「―と」をつけて副詞となるものは「と」がなくても自然な文であるが、「―に」が付く表現は「―に」を抜くと不自然な表現になる。
④名詞として
・ドキドキが欲しい・ヌメヌメの原因
⇒「ドキドキする物事」「ヌメヌメになってしまった原因」の後半部分を省略し「ドキドキ」「ヌメヌメ」の部分だけで全てを表す名詞的な用法。
・ノロノロ運転・カンカン照り
⇒他の名詞と結びついた複合名詞としての新しい名詞
次に、オノマトペの使用例が挙げられている。
まずは、幼児に対してである。大人が幼い子どもに話しかけるとき、「犬が来た」の代わりに「ワンワンが来た」、「しっかり噛みなさい。」の代わりに「よくクチュクチュしなさい」と、子供がわかりやすい様に言い換えることがある。大人がこれらを使うことにより子どもたち自身も真似して使うようになる。このことから一般的にはオノマトペは幼児語として捉えられ、幼く子供っぽい表現だというイメージがあるのではないかと筆者は考えている。
次の使用例として商品や会社名、漫画などの身近なものが挙げられている。
・ほっかほか亭・プッチンプリン
日本語話者はオノマトペを用いた会社名からその会社がどのような商品またはサービスを提供するかを容易に想像し、またオノマトペを用いた商品名、宣伝文句、キャッチフレーズからはその商品がどういった性質のものであるのかを瞬時に把握する。買い手に自社をアピールするための手段としてオノマトペ表現は便利な表現方法である。
また、インパクトを求め視覚に訴える漫画では、このオノマトペがあらゆる場面で使われ、その文字の大きさや配置の工夫も加わり、あたかも映画やテレビを見ているかの様な臨場感を出す効果を与えているようであると筆者は述べている。
このようにオノマトペは様々な場面で使用されているが、教材ではあまりとりあげられていない。その理由として、①オノマトペが幼児語だと捉えられ語学の学習として学ぶに適当ではない語彙だと考えられているから。②擬音語は学び記憶する表現だと捉えられていないから。であると筆者は考えている。
以上から筆者は、オノマトペ表現は簡潔でインパクトがあり、目の前にその音、様態が体験できるかのような描写力であるが、日本語学習者にとってはなかなか学習する機会の少ない表現であると考えている。