こんにちは、昼ゼミ2年の安藤です。昨日めでたく二十歳を迎えました。新成人として、これからはより一層気を引き締め、一人の人間として責任を持つことを心掛けたいと思います。
今回は、以下の論文を読んだので簡単に報告します。
谷光忠彦(2006)「(3)若者言葉と男性語・女性語(1 日本語教育のカリキュラム構成の問題点-「言葉と文化」-,II 日本語力習得の研究 2)」『武蔵野学院大学日本総合研究所研究紀要』 (3), 50-57
この論文では、「若者言葉」と「男性語と女性語」についての調査を基に言葉と文化の関わりを具体的に考えている。
1.若者言葉
[表1]を見ると、「超…」「…っちゅうか…」「まじ(で)」は男女ともに多く用いることは共通している。それに対し、「むかつく」「…って感じ」「さむい」「へこむ」は男性よりも女性の回答が多く、女性に関心度が高いことを思わせる。それに対し、「だるい」は男性のほうが関心度は高い。このような違いが生じることは一つには、男性と女性とでは社会生活あるいは人間関係の対応の仕方に微妙な相違があって、それが言葉に反映しているのかもしれない。つまり、一般的には若い人は婉曲表現よりも力強い直接表現で素直な感情を吐露する反面、慎重且つ懐疑的な表現も表す。男女差でみると男性は忍耐力の乏しさを思わせ、女性は感情を抑制する傾向を感じさせる。
[表2]は5年後に調査されたものである。これによると、「まじ」が男性の回答数ではトップになり、男性の懐疑的発想傾向が伺える。「超」は3位に落ちる。これは、女性も同様の傾向を示し、流行語の変化の速さを思わせる。「やばい」の回答は男性と女性の回答数が前回と比べて逆転し、女性の方が強く関心を持つ言葉になった。「やばい」は危機意識の現れと思う、その具体的内容に男性と女性とでは相違があるにしても強く不安定な世相を反映している言葉だと思う。「ありえない」は女性の回答がトップで女性の信念の頑固さを思わせる。
2.男性語と女性語
男性語としてトップに指摘した語は男女共に一人称の代名詞であり、女性語としてトップに指摘した語は男女共に終助詞を意識している。これは、男性と女性では各々の生活感情の中で若干異なった価値観(文化)を有することに起因する。
ところが、5年後の調査では、男性語・女性語それぞれの特色については、男性は何れも代名詞の用法の相違を指摘しているが、女性は男性語・女性語ともに終助詞の用法を意識し、その相違をトップに置いている。(「…だぜ」、「…だわ」など。)また、女性は接頭語の「お」をよく用いることについては男性・女性いずれも指摘している。
3.男女の回答語数からみる世界観の変様
日本語には男性語と女性語があることは歴史的事実ですが、時代が変わるにつれてその差は縮まってきている。異なり語数と述べ語数について、男性語・女性語についてみるといずれも女性の回答数が優勢だ。これは、男性が単調な表現をするのに対して、女性は多様な表現ができることの現れかと思われる。
ところが、5年後の結果について、男性語が女性語に比べて異なり語数・延べ語数ともに優位に立っている。これは、男女の回答を一つに纏めたものであるからだ。女性は言葉に対する関心度は男性にくらべて一般的に高く、それに加えて特に近年における女性の社会的活動の躍進とおも深い関連を感じざるを得ない。これも言葉への文化の反映の然からしむる所以であるだろう。