自然談話資料にみられる日本語母語話者の「なんて」「なんか」「など」

こんばんは。昼ゼミ3年下山 千亜紀です。とうとう選考も始まり、ドキドキな日々です。スーツは寒いので雪だけは降らないよう祈っています。皆さんも体調にお気を付けください。
ところで、以下の論文を紹介したいと思います。
鈴木 理子(2003) 「自然談話資料にみられる日本語母語話者の「なんて」「なんか」「など」」
『小出記念日本語教育研究会 論文集 No.11 小出詞子先生追悼号』pp,59 -79

「なんて」「なんか」「など」の使用実態と互換性を調べた論文です。

(1)ぼくなんかこれからだもんね。
(2)ぼくなんてこれからだもんね。

「なんて」と「なんか」には互換性があると分かったが互換出来ない例もあった。

(3)前はなんかあのー、現金なんか引き出す機械、ああいうの台数が少なかったんだけど、
(4)前はなんかあのー、現金なんて引き出す機械、ああいうの台数が少なかったんだけど、

これは「なんか」が連体修飾節中にあるからで、「なんて」に置き換えると提題性が強いために節の中に収まりきらず、その外までかかってしまい不自然な文になると考えられる。「なんか」に引用の機能がないため「なんて」に置き換える事が出来ない、としておく。

また、名詞と格助詞のあいだに「なんて」は使えない。

(5)表情なんかが、全部すっぽりはいるわけ、
(6)みんな、やっぱりアパートなんかに住んでますからねぇ(後略)
(7)いや、だけど、立ち読みで読んだのがけっこうあるよ。
あの、単行本なんかで。
(8)日本の喫茶店なんかの、典型的。

これは、「なんて」が格助詞や係助詞を後接させる性質を持っていないためである。

また、「など」との関係では、「など」、「などと」「などという」の形で、構文論的には「など」も使用可能であるにもかかわらず、用例は見られなかった。よって、話し言葉では「など」は用いられないと言えそうである。ただし、これについては更に場面や会話相手等社会的要因の分析が必要である。

さらに、先行研究では否定の形や語と共起する場合が多いとされているが、今回の資料では多くは見られず、「なんて」は全61例中9例、「なんか」は全59例中2例であった。
本調査結果の詳細な分析を行い、各機能や互換の可否の原因の考察、「って」等同様の機能を持つ他形式との比較を行うと共に、個人差や年齢、場面等社会的要因の影響についても考察を進める。併せて、他資料との比較も行うことを課題とする。

今回の論文で筆者は、分析を行い詳細に分けて終えていた。次回で詳細な分析を行うと述べていたので、今回の論文からは用例を生かしたいと思いました。また、「なんか」の引用機能は多く見られるので証明すべきだと思いました。