音響メディアを利用した盲人の情報活動に関する一考察

こんばんは。春休みも終わると3年になる恐怖に怯えています、夜ゼミ2年加藤です。

今回は全盲の方と同音異義語に関する論文「音響メディアを利用した盲人の情報活動に関する一考察:駒場恵・西澤文範・小林賢治・鎌田一雄」について要約しました。
以下要約です。

 視覚に障害がある人たちは、日常生活で必要な情報の獲得・発信などにおいて、通常の人たちが視覚を利用する部分を聴覚などの他の感覚で代用する感覚代替を行っている。しかし、単純に視覚的な部分を聴覚を通し利用できるように代替すればよい、とだけ考えて支援技術を議論することはできない。
 本稿では、先天的に視力を失っている人(先天全盲者)を対象とし、日常生活において音響・聴覚メディアを利用する情報活動に焦点を当て、技術的な支援、あるいは環境の整備が意図した通りの効果をあげているかどうかを議論する。(1)朗読システム(2)移動に関する位置情報獲得における周囲の音環境(3)テキスト理解における同音異義語の課題に関連し新聞記事の同音異義語出現頻度の調査結果などに関して様々な議論がされているが今回私は(3)の同音異義語に関する点に絞ってまとめていくこととする。

まず、音響メディアについてまとめておく。上記にも書いたが、盲人者は通常の人たちが視覚を通している情報をそのまま同じように視覚情報として獲得することができない。そのため代わりの感覚器官を用いた情報需要が必要となる。文章情報獲得支援としては、音声を利用する朗読システムがある。しかし、音声の読み上げによって視覚を通した通常の人たちのテキスト理解と同じような情報活動ができるかどうかについては検討が必要である。
  
  
  同音異義語についてであるが、文献「現代言語研究会:ワープロ時代の同じ読みで意味の違う言葉の事典、あすとろ出版部(1994)」に記載されている同音異義語1,176組を対象としている。それによると同音異義語では平均として2つから3つの意味が異なる単語を持っていることがわかる。本稿では、この単語リストを基礎とし、新聞記事を対象として、どの程度の同音異義語が存在するかを調査している。
 
  
〈調査1〉
下野新聞社のホームページに掲載されている記事(2002年)を対象とし、無作為に抽出した12日分の記事を解析し、記事文章中にどの程度の同音異義語が存在するかを調査している。その結果3.15%の出現頻度であるっことが分かった。

〈調査2〉
  下野新聞社の記事をジャンル別(経済・社会・政治・地域・スポーツ)に1週間分を無作為に抽出し、それぞれにおける同音異義語の頻度を計数した。これの結果によると、経済分野の記事における出現頻度が大きく、逆にスポーツでの頻度が低い事がわかった。

  これらの調査から考察すると、同音異義語は記事のジャンルによって変動するが、ほぼ3パーセント程度の頻度で出現することがわかった。朗読システムを実際に使った場合、同音異義語を含む文章の理解にどの程度の支障が生じるかどうかは言葉の知識、文脈などに依存するため一般的な議論にはなじまない、とされている。
  しかし、新聞における表記ルールではテキストを音声化したときの理解の度合いという視点はないようだ。
  情報技術を有効に活用し、情報獲得に大きな障壁が存在していた人たちに対して、その障壁を弱めることができる。しかし、単純にメディアの変換だけで解決するわけではないという視点が重要であると考える。けれども、視覚情報の聴覚情報による代替を考えるうえでも、それぞれの感覚器官の特性も考慮しなければならないし、読み上げシステムの長時間使用による難聴などの障害なども報告されている。

  同音異義語についてまとめてはあるが、同音異義語と全盲のひとに関する関わりは書かれていなかった。しかし、全盲の人と同音異義語というものは音に関する判断基準の大きな特徴をもっていると思うので、この他の全盲と同音異義語に関する論文などがあれば研究していきたいと思いました。

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