日常会話における「トイウカ」

 こんにちは。夜ゼミ2年の広瀬です。最近はなかなか忙しい毎日を過ごしているのですが、そんな中カマンベールチーズにハマっています。作業中ちょっとお腹がすいた時とかにちょうど良いので、皆さんもぜひ。

 今回要約するのは以下の論文です。

原田幸一(2015)「若年層の日常会話における「トイウカ」の使用―縮約形「てか・つか」に注目して―」『日本語の研究』第11巻3号、pp.16-31、武蔵野書院

〇要旨

 若年層による日常会話をデータとし、「トイウカ」の使用を分析する。分析結果にもとづき、「トイウカ」の縮約形「てか・つか」の使用に注目し、考察する。

〇データ

 首都圏在住の大学生に協力を仰ぎ、親しい友人同士での自由な会話を収録する。

〇「トイウカ」の用法と置換

<発言改正用法>

・暫定提示…「と言ったらいいか」

・言い換え…「と言うより」

・譲歩補足…「と言っても」

<話題調整用法>

・話題導入…「ところで」

・話題維持…置換不可能で、単に話題を維持するために使用したとみなす場合

 このうち、各用法の「言う」がその語彙的意味を示しているのは<発言改正用法>であり、<話題調整用法>は示さないと言える。

〇分析

 データから「トイウカ」は1443例得られた。得られた「トイウカ」は、引用「と」の形式により、大きく「ト系・テ系・チュ系・ツ系」の4系列に分けることができる。

・ト系…「とゆーか」「とゆか」

・テ系…「てゆーか」「てゆか」「てか」

・チュ系…「ちゅーか」

・ツ系…「つーか」「つか」

 「トイウカ」1443例を系列ごとに、「出現数」と「使用者数」をそれぞれ百分率で示した。結果、出現数はテ系が1296例で約9割を占める。テ系の中でも「てか」が最多であり、全体の5割占める結果となった。使用者数を見ると、テ系3形式の使用者数の割合は全て6割以上である。また、ツ系では「つか」、ト系では「とゆーか」が最多である。

〇縮約形「てか・つか」の考察

 「トイウカ」の構成要素は「と+言う+か」と還元できる。「てか」は「と」が「て」に変化し、「言う」が脱落した形式であり、「つか」は「と+言う」が「つう」に縮約し「う」が脱落した形式である。また、「てか・つか」は「てゆーか・つーか」に比べてより合理的で効率的な形式とみなすことができ、話題調整用法で「てか・つか」の割合が高いことは「単純化」傾向の現れと考えられる。

〇私見

 例の数が1443例と非常に多く、説得力を感じる論文だと思う。この論文では調査対象が大学生のみだったため、大学生以外の幅広い世代で検証した世代ごとのデータも見てみたいと感じた。

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