ジェンダーに関わる表現「女子力」についての考察 ―「女子力」を巡る記述における言語標識を中心に―

 こんばんは。昼ゼミ2年宮澤です。

 今年の夏休みは、高校の友人とシュラスコ(ブラジル料理)に行きました。店員さんが肉を槍みたいなのに刺して、各テーブルを回ってくれるのですが、屈強な男たちばかりで、さっきそこで狩ってきたのかなと変な想像をしてしまいました。

 さて、今回は、

  馬雯雯(2019)「ジェンダーに関わる表現「女子力」についての考察 ―「女子力」を巡る記述における言語標識を中心に―」『ことば』第40巻、pp.90-105、現代日本語研究会

を要約しました。

 この論文は、アンケート調査によって、言語標識、言語表現に焦点を当て、「女子力」がどのように解釈・定義されているかと、男女が使用するときの違いを取り上げ、「女子力」について考察している。

「女子力」:「身だしなみ、言葉遣い、行動、気遣い、香り、スカート、ピンク、清潔感、振る舞い、装い、髪型、ネイル、仕草」

 →「女性らしさ」を行動で表したものといえる。

 →外見に関する内容であるが努力によってつくられていくものである。

「女性らしさ」:「優しい、上品、気遣い・繊細、家庭的、かわいい、愛嬌、色気、美しい、控えめ、男を立てる、明るい、あたたかい、思いやり」高井(2009)

 →人柄、性格、美しさなどの属性的な側面に偏っている。

 筆者は、両者の比較によって、どのように「女子力」が解釈・定義されているかを結論付けた。

<「女子力」とは>

・「女性らしさ」を構築する動的なプロセスを可視化することば

・身に付けることができ、評価される能力の一種

・「女性らしさ」を測定する尺度

・具現化された「女子力」は受け取る側にとって好ましいものや事態

※「女子力」の能力の内容は、家事、料理、裁縫などであった。

※具現化された「女子力」とは、ハンカチ、絆創膏、かわいらしいものなどであった。

<男女が使用するときの違い>(※[言う人→言われる人])

[女性→女性]

「ほめ」の効果のある言葉として使用

[男性→男性]

「冗談としてのほめ」の効果のある言葉として使用

[男性→女性]

「ほめ」の効果のある言葉として使用

 「女子力」は後天的に身に着けられる能力として捉えられているため、女性だけでなく男性に対しても使用される。しかし、元々は女性に対して使うという認識が、男性に対して「女子力」を用いることへの距離感を生み、「冗談」につながっていると考察している。

 同じ言葉でも男女によって、使用するときに、細かなニュアンスに違いが出る点が興味深いと思いました。他の言葉にも、そのような現象があるのではと気になったので、調査したいです。

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