日本語の謝罪表現「ごめん」と「ごめんね」について : ポライトネス理論の観点から

 こんばんは。昼ゼミ2年・名原です。夏ソングって多いけど秋ソングって少ないですね。オワコン説あるぞ、秋。

 今回は

日髙慶美(2019)「日本語の謝罪表現「ごめん」と「ごめんね」について : ポライトネス理論の観点から」『国際広報メディア・観光学ジャーナル』第28巻pp.71-88北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院

 の論文レポートです。

研究の目的

 謝罪表現「ごめん」と「ごめんね」のポライトネスの違いは何か明らかにする。

謝罪表現における終助詞「ね」の役割

 「謝罪の命題内容とそれに付随する話し手の態度を相互に顕在的にしたいという話し手の願望を伝えている」と考察。

ポライトネスの「累積仮説」

「ごめん」→(B&L(1987)「省略や短縮」に則り、)

      ポジティブ・ポライトネス・ストラテジー

  「ね」→        〃

 ポジティブ・ポライトネス・ストラテジーが重なっているので「ごめん」より「ごめんね」のほうがポジティブ・ポライトネスの度合いが大きい(=「累積仮説」)。

データをもとにそれらの違いを分析

 B&L(1987:74)はFTA深刻度の度合いを決める要因は、「話し手と聞き手の「社会的距離」(social distance:D)、話し手と聞き手の相対的力(power:P)、特定の文化における絶対的な「負荷度」(ranking of imposition:R)」であるとし、

  FTAの深刻度の度合いが小さい場合→ポジティブ・ポライトネス・ストラテジー

   〃      大きい  〃→ネガティブ・ポライトネス・ストラテジー

 がそれぞれ使用されると考察した。

 これを軸にドラマの謝罪の場面のFTAの深刻度の度合いの大きさ、謝罪の内容や状況の違いなどを比較するという方法を取った。

結果

 累積仮説を支持する傾向が見られた。

〇「ごめん

 ・Rの大きさに関わらず話し手の言動に対しての謝罪である。

 ・その謝罪の内容が話者と聞き手、相互に認識できているという傾向も見られた。

〇「ごめんね

 ・相手が怒っていなかったり話し手の過失ではなかったりとRの小さい場合に多く用いられる。

 ・話し手と聞き手の間でその謝罪の内容が相互に認識できている場合「申し訳ないと思っている」などの気持ちを顕在化することで相手に伝えようとする意図が見られた。

引用文献

Brown, Penelope and Stephen C. Levinson. 1987. Politeness: Some Universals in Language Usage. Cambridge: Cambridge University Press.[田中典子(監訳)・斉藤早智子・津留 﨑毅・鶴田庸子・日野壽憲・山下早代子(訳).2011.『ポライトネス 言語使用に おける、ある普遍的現象』東京:研究社]

感想

 この論文を読むまで「ごめん」と「ごめんね」はほぼ同じような謝罪表現だと考えていたが、「ごめんね」は「ね」が追加されることによってよりポジティブ・ポライトネスの度合いが強い表現になっていることが知れて面白かった。

 謝罪表現は全てネガティブ・ポライトネス・ストラテジーだと認識していたが、「ごめん」はポジティブ・ポライトネス・ストラテジーである「省略や縮約」が使われているからポジティブ・ポライトネス・ストラテジーになるという考察が興味深かった。

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