こんばんは。昼ゼミ滝沢です。取りたい授業の曜日がかぶって悩んでます。

以下の論文を要約しました。

上林葵(2017)「関西方言における接尾語「ラ」」、『阪大社会言語研究ノート』、15号、pp.59-71

https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/67212/sln15-059.pdf

(1)ここは僕らにまかせて、君は早く帰りなさい。

(2)今日ラどこ行くの?

一般的な接尾語「ら」は(1)のようには複数性を示すが、関西方言における「ラ」は(2)のような複数性を示す用法とは異なる働きが存在する。本論文では関西方言における「ラ」の意味を複数性、例示、マイナス感情の3つとし、それぞれの用法を明らかにしている。

「複数性」

(3)この教科書{ラ/?たち}すててもいい?もうつかわんやろ。

本来接尾語「ら」は「たち」と言い換えが可能であるが(3)の関西方言における「ラ」は複数性を示しながら「たち」との言い換えが出来ない。「たち」が後接できるのは有生物なものまでに対し、「ラ」は無生物まで後接が可能であるとし、「たち」と「ラ」では接続できる語の範囲が異なることを明らかにしている。

「例示」

(4)今日どこで集まる?駅前ラどう?

(5){洗濯物を干そうとする相手に対して}今日ラ雨やで?中に干したら?

(4)ではいくつかの候補のうち「駅前」という候補を例示している。「ラ」を付けることでぼかしを含め、相手に選択の幅を与える「典型的例示」の働きがあるといている。(5)では「今日」のみを焦点にしており他の候補があることを含んでいないが、「『今日』が代表するような条件の担う日」をその他の選択肢として含ませおり、「合意的例示」の働きがあるとしている。

「マイナス感情」

(6)そんなゲームラしてる暇あったら宿題しなさい。

(7)こけて骨折して以来、自転車ラ怖くて乗らんわ。

(6)では話し手がその後に対して軽卑の感情を抱いている。接尾語「ら」も「たち」と比べて「上品でない言葉」とされ軽蔑感を持ち合わせているが、「ラ」は対比とは無関係に前接の語を卑下している。(7)では話し手にとって前接語に対して恐れや扱いづらさを示しており、前接語を見下す「軽卑」と異なるベクトルのマイナス感情を示している。

筆者の主観による用法の分け方がされていたが、方言の用法の分別は特に難しいものなのだなと思いました。自分の見の周りでも使い分けがされている方言接尾語をさがしていきたいです。

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