こんにちは。夜ゼミ2年の澤井です。先日、外国人の方に日本語で話しかけられて、私は英語で返答してしまいました。こういう時ってどっちの言語に合わせればいいんでしょうか。
さて、今回要約した論文は以下の通りです。
塩田 雄大(2020)「“9時10分前”は何時何分?~2020年「日本語の揺れに関する調査」から(1)~」『放送研究と調査』2020、12月、36―53
本論文では、日本語の揺れに関する調査をもとにその結果から意味や解釈の揺れを考察している。
調査したのは以下の通りだ。
1.「9時10分前」の指し示す時刻
2.「私情」の用法
3.「2日おきに」の解釈
4.和語の語形について
調査結果
1.「9時10分前」の指し示す時刻
〔解釈A〕「8時50分」 〔解釈B〕「9時10分の数分前」
→〔解釈A〕の意味が7割近くを占めた。その背景として、逆算的な認識・把握の仕方には針のあるアナログ時計の表示が影響していると考えている。
2.「私情」の用法
A「仕事に私情を差しはさんではいけない。」
B「私情により、本日は出席することができません。」
AとBどちらが正しいと思うか尋ねる。
→Aは正しいが、Bはおかしいという回答が6割。しかし20代ではその回答は3割ほどであった。「私情」に関して、「私事」「個人的な事情」などに近いような新用法が受け入れられている。
3.「2日おきに」の解釈
「2日おきに来ます。」とした場合、次に来るのはいつだと思うか尋ねる。
→「2日おき」は「2日後」であると解釈する人が多い。しかし、「1日おき」も「2日後」と解釈する人が多かった。(「2日おき」が「3日後」になるという解釈は少ない)
4.和語の語形について
「言う」を「ゆう」と発音するか
→「ゆう」と発音して「いう」と書く割合が多い。実態調査と合わせて考えてみると「いう」という発音は調査結果が表すほどは使われていないと推察している。
自分の意見として、言葉の解釈や発音が年代によって変化していくというのは興味深い調査結果だったと思う。また、本来と違う意味で解釈している若者が多いというのは自分の調査でも参考にしていきたい。