こんにちは。夜ゼミ2年の矢内明莉です。
先日、コロナウィルスの影響で読売ランドに行く予定をキャンセルしました。とても楽しみにしていて、一緒に行くはずだった友人と一緒にダイエットを頑張っていたのですごく残念です…
さて、今回は
三井はるみ(2002)「働きかけの表現の地域差へのアプローチ―禁止表現を例として―」『日本語学』第21巻,9号,p36-47(明治書院)
について紹介します。
この論文では、「行く」の禁止表現に着目し、地域ごとにその表現にどのような違いがあるのかについて考察している。また、「行くなよ(やさしく)」と「行くなよ(きびしく)」に分類し、地域ごとに発話姿勢の違いが言語表現に表れているのかについても考察を行っている。
(1)行くな(よ)[やさしく]

・イカレナイ類は可能表現の否定形に由来。一般の否定形は「イケン」「イケレン」であり、別の形をとっている。
(2)(行くな)よ[やさしく]

(3)行くな(よ)[きびしく]

(4)(行くな)よ [きびしく]

・「ッテバ」「ユータラ」は引用の類であり、「ズ」「チャ」も「と言う」が変化したもの
筆者はさらに発話姿勢の違いがどのように言語表現に表れるかについても言及している。
(5) 発話姿勢の違いが言語表現に反映しない地点
・ 北海道、東北、中国、九州、沖縄
・ [やさしく][きびしく]のどちらでも終助詞のつかないイクナ類を用いる
・ [きびしく]場面では、「語形を変えずに語気を強くする」という回答あり
(6) 発話姿勢の違いが表現類型に反映する地点
・地域的な偏りなし
・(3)で挙げた場面の偏りを反映した表れ方をしている
・ [やさしく]:イッテワイケナイ類 [きびしく]:イクナ類 → 西日本
・[やさしく]:イクナ類 [きびしく]:イッテワイケナイ類 → 東日本
(7) 発話姿勢の違いが終助詞に反映する地点
・東北地方
・(4)で述べた場面への偏りを反映した表れ方
・ 終助詞なしの回答は[やさしく][きびしく]で見られる
筆者は「行く」の働きかけ表現について考察しているが、発話姿勢まで深めて考察する場合は語用論的観点も必要ではないかと感じた。